記事

事業者
山梨県県土整備部

県中北建設峡北支所・今年度の事業概要/穂坂橋架替え22年度完成へ/日野春駅道路改良今年度は用買進める/

2008/08/19 山梨建設新聞

 県中北建設事務所峡北支所(望月実支所長=写真)は、平成20年度の主要事業として、韮崎昇仙峡線「穂坂橋」と前後の約340m間の整備、茅野北杜韮崎線の「青坂バイパス」、「JR日野春駅道路改良」をメーン事業に、防災対策では、七里岩急傾斜地崩壊対策事業をはじめ、古川(韮崎市・L2700m)と泉川(北杜市・L2900m)の河川改修事業、砂防事業では入戸野沢川、沢浦川、小麦沢の砂防堰堤を実施していく。また橋梁耐震補強工事などにも積極的に取り組んでいく方針だ。

 

 主要事業の概要は次のとおり。

【韮崎昇仙峡線】

 中央道韮崎インターと韮崎市の中心市街地を結ぶ主要な道路。道路線形が悪く、勾配もきついため、特に冬期は危険な箇所となっており、事業は「穂坂橋」の架け替えを含めた道路改良で平成22年完成を目指す。穂坂橋は、塩川に渡河する橋で昭和39年に築造。現橋はL136m、W4・5m(歩道を除く)。新橋梁工事の設計は、サンポーが担当し、現在、桜井鉄工が上部工製作架設工事(4径間連続非合成鈑桁橋・橋長L141・7m、車道W7・5m、歩道W3m)を平成21年3月13日までの工期で進めている。

【青坂バイパス事業】

 ループ区間の狭隘、急勾配を解消するための改良事業で、全体計画L1000m、W6(10・5)m、総事業費は19億円を試算している。工事は17年に着手し、平成22年完成予定。平成20年3月現在で用地買収状況平約95%、工事進捗率は約20%。現在は起点側から暫定断面(開削・全体掘削土量V24万立方m、オープン掘削最大深H14m)を進め、掘削・残土処理工を行っており、中部自動車横断道の増穂IC予定箇所へ残土を運搬してる。

 韮崎市青坂地内ループ部(通称青坂トンネル)は幅員が狭い上に急勾配、急カーブで高さ制限(3・4m)があることから大型車のすれ違いが困難な状況。さらに、沿線に大規模な工場があり特に通勤時間帯を中心に渋滞が激しさを増す。ループ部の解消による線形改良を行うことで交通の円滑化を図る。

【JR日野春駅道路改良事業】

 日野春駅周辺の改良、日野春小学校周辺の歩道整備。全体計画はL660mW10m(車道部7・5m、歩道部2・5m)事業費は9億円。工事は18年度~23年度で計画し、今年度は用地買収を進める。20年3月現在の用地買収状況は約95%、工事進捗率は約17%。

 また、道路改良計画に併せて電線共同溝(地中化)事業も実施する。

 改良箇所は、軌道と谷に挟まれた幅員が5m前後の狭い道路となっており大型車のすれ違いに支障をきたしている。交通量も1日当たり約6千台と多く、朝夕の通勤通学の時間帯は混雑している。さらに、歩道がないためJR日野春駅を利用して北杜高校や日本航空高校へ通学する生徒を含めた歩行者は非常に危険な状況であり平成19年10月には車と歩行者の接触による死亡事故も発生。一日も早い現道拡幅と歩道の設置が望まれている。

【七里岩急傾斜地崩壊対策事業】

 事業箇所は韮崎市の七里岩南端で、県道茅野北杜韮崎線を含む急傾斜地。平成16年10月に発生した台風23号の被害により災害関連緊急砂防事業の採択を得て、これを契機に現在、急傾斜地崩壊対策事業を継続し行っている。全体事業費は約9億円で、平成26年度の事業完了を目指し今後も鋭意工事を進めいく。

 斜面の形状は、平均傾斜60度以上、高さ30~50m。崖面には所々オーバーハングしている箇所や開口亀裂の発達がみられる所が点在、斜面下部には崖錐堆積物が堆積している。事業実施に当たっては、被害が想定される約870m区間の斜面を現地調査し、この区間を地形形状等を踏まえ15エリアに分割し、エリア毎に斜面カルテを作成。斜面の危険度評価を行い、危険度が高いと判定されたところから対策工を行っている。

 対策工は①斜面の浮石や不安定岩塊の除去を行い、斜面を安定化させる②崩壊土砂が直接、既設擁壁に衝突しないように緩衝帯として平場を設ける③民家に近接する沢部法面は、吹付法枠工+鉄筋挿入工を設置し、沢部の浸食を防止④急崖斜面には、施工時に小落石が起こらないように覆式落石防護網を設置ーを基本的な考えとしている。


【自然環境保護に高い意識】


 望月支所長は今後の課題として「管内は自然に恵まれた地域であり、八ヶ岳を中心とした観光産業も地域の主要な事業となっているだけに、自然環境保護にも高い意識と熱意が感じられる。知事の政策の基本理念である『暮らしやすさ日本一の県づくり』の基礎となる社会基盤整備を推進するにあたり、これらの時代に合ったものの考え方を、職員一人ひとりが認識しながらそこに住む人と同じ目線に立って考え、実施していく姿勢が必要と考えている。また、地球温暖化の影響か、日本各地で発生している自然災害がこれまでの経験では計り知れない規模や特徴を感じさせる。災害を最小限に抑えるための防災対策と同時に職員の危機管理意識の徹底も図る必要性を痛感している」と語った。

◆管内の状況

 県の北西部に位置する韮崎市と北杜市で、面積は747K㎡(県割合16・7%)、人口は約8万2000人(県割合9・3%)を管轄しています。管内の道路は31路線312・7㎞、一級河川は76河川369㎞、急傾斜地崩危険区域43カ所ある。

【道路】道路整備については地域の要望も非常に強く、バランスのよい整備を推進していく必要がある。直轄管理の国道20号と県管理の国道141号がそれぞれ山梨県と長野県を結ぶ幹線道路となっており、中央道、国道20号、国道141号は第一次緊急輸送道路に指定されている。国道141号の改良、国道20号の代替路線となる主要地方道茅野北杜韮崎線の改良は特に重要。これと併せて、それぞれの地域間を結ぶ生活道路、商工業や八ヶ岳を中心とした観光産業の発展のための道路網の整備は今後も更に進めていく。

【防災対策】峡北地域は昭和34年に大きな台風災害を経験しており、災害対策に対する意識は高くその活動も積極的。平成18年度から実施している砂防基礎調査が今年度で完了するので、この調査結果を地域住民に説明する事により危険箇所の周知徹底を図っていきたいと考えている。


【写真=26年度の完了に向け工事を進める七里岩】


中北建設・峡北支所写真000962.JPG

紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら