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(株)武井建設

武井建設/「あづみ野E・H」を開発/エマルジョン燃料による燃焼装置/国交省のモデル事業にも選定

2008/09/06 長野建設新聞

 循環型社会の構築を目指している㈱武井建設(安曇野市豊科南穂高3757-2、髙橋秀雄社長)は、化石燃料(重油・廃油)と水を混合したエマルジュン燃料を使用した燃焼装置「あづみ野E・H」をこのほど開発、湯沸し器として現在は同社資材置場で実証試験中で、乾燥機を主とした装置・システムでの利用も目指している。

 エマルジョンとは、互いに混じり合わない2種の液体で、一方が他の液体中に微粒子状で分散しているもの。身近な物には水中に油滴の分散する牛乳やマヨネーズ、油中に水滴の分散するバターなどがある。

 エマルジョン燃料による燃焼メカニズム(図参照)は、内燃機関で着火させると、まず低沸点の水の微粒子が瞬時に気化爆発する。その時にまわりを取り囲む油粒子が微細化され飛散することで、酸素との接触面積が大きくなり完全燃焼ができ燃焼効率が高まる。燃料経費の削減をはじめCO2(二酸化炭素)やNOx(窒素酸化物)、SOx(硫黄酸化物)、PM(粒子状物質)などの排出が削減され、まさに地球環境にやさしい燃料といえる。

 あづみ野E・Hは、既成のエマルジョン燃料(重油+水)とは違い、重油+廃油+水。価格の高い重油が少なく済むとともに、自社等ででる廃油の有効利用もできる。現在の燃焼実験では、A重油:1+廃油:1+水:1の割合での燃焼が最も効率良い試験データがでており、全て一般A重油だけ燃焼させた場合を100として燃料費を比較すると、既成のエマルジョン燃料では84%。同社のエマルジョン廃油燃料の場合、廃油を60円/㍑とすると70.5%と、30%近くの節約になる。廃油を20円/㍑とすると54.8%で、重油と比較すると45%以上の大幅な燃料経費節約となる。

 同燃焼システムの開発は、国土交通省の今年度「建設業新分野進出・経営革新モデル支援事業」に選定されており、同燃焼システムは現在特許出願中だ。

 高橋社長は「自社等で排出される廃油等を有効利用でき、燃料費を削減できる点に注目してほしい」とし、あらゆる燃焼装置に活用できると強調していた。

 同社では、次世代に向けての環境保全や循環型社会の構築を目指したグループ企業活動を実践しており、未利用資源や廃棄物の原料化・製品化を行っている。㈲武井農場では未利用食品資源を発酵飼料化した「あづみ野エコフィード」で豚を飼育、その堆肥で米や麦、野菜を生産。また、㈲あづみ野リサイクルセンターでは「セラミック炭」やウッドチップ舗装の「あづみ野ウォーク」、籾殻薫炭製造機「あづみ野クン太郎」などを開発して販売もしている。

 詳細は㈱武井建設(TEL.0263-72-8735)まで。 

URL http://www.geocities.jp/takeikensetsu_kk/


WEB用・燃焼装置(左)と湯沸器001492.jpg WEB用・エマルジュン燃焼メカニズム001493.jpg WEB用・燃焼状態図001494.jpg

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