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建設労働者の賃金/労務単価下落影響は小さい?

2008/09/10 本社配信

 下請代金や労働者の賃金について、設計労務単価の影響は小さい? 国土交通省は発注者162団体、受注者504社、労働者団体21団体に対して、公共工事設計労務単価のアンケートを実施。下請代金中の労務費相当額と労務単価の関係を聞いたところ、金額決定に際し最も影響の大きい要素は「下請見積」となった。

 労務費相当額の決定において最も大きい要素として下請業者からの見積もりを挙げたのは、元請で36%、下請(中間)で31%、下請(下位)で29%となっており、全体平均は33%だった。

 一方、「設計労務単価」の増減としたのは元請20%、下請(中間)7%、下請(下位)6%で、平均14%。とりわけ下請では「受注環境(競争性)」や「個別の受注工事ごとの利益率」よりも影響が小さいとしている。

 近年、「設計労務単価が下落し続けている影響で、技能労働者の給与も下がり続けている」といった声があるものの、今回のアンケートからは読み取れない結果となっている。

 また個々の労働者の賃金を決定する際に考慮している項目を聞くと、元請では「資格」「職責」「経験」が同等だった。

 実行予算を策定する際に通常用いる労務費の積算・見積もり方式は元請、下請(中間)、下請(下位)のすべてで「自社単価」が最も多かった。

 一方、発注者または元請に見積もりを提出する際に用いる労務費の積算方式は、元請の場合は「歩掛」が5割以上を占め、下請は「自社単価」が最も多かった。

 アンケート結果は、8日に開かれた第3回設計労務単価のあり方検討会で報告された。検討会は年度内のとりまとめを予定している。今後の論点としては労務費調査の改善のほか、積算・入札契約・元下関係の適正化が挙がっている。また同省は「若年層が入ってくるためには、技能労働者の労働環境を改善する必要がある」(建設市場整備課)としており、合わせて議論する。

 同省発注部局は直轄工事の積算について、歩掛を用いない見積もり方式とユニットプライス型に切り替えていくことを規定路線としており、労務単価の重要性は相対的に低下していくとみられる。

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