JFE千葉西発電所更新・移設計画にかかる環境影響評価方法書の縦覧が12日、県環境生活部環境政策課などで始まった。縦覧期間は10月14日まで。同事業は、JFEスチールが千葉西発電所において、既設汽力を廃止し、ガスタービン及び汽力(コンバインドサイクル発電方式)を新設するとともに、既設ガスタービン及び汽力(コンバインドサイクル発電方式)を移設する。これにより、最大出力は既設の45万3000kwから53万7000kwに変更となる。着工時期は4号機が2010年9月、5号機が2013年9月の予定。以下、方法書による概要は次の通り。
【事業者】
JFEスチール株式会社(馬場一社長、東京都千代田区内幸町2丁目2番3号)
【対象事業の目的】
JFEスチール㈱東日本製鉄所(千葉地区)は、1951年に戦後わが国で初めて銑鋼一貫の臨海製鉄所として建設され、以降、首都圏を代表する製鉄所として鉄鋼製品を生産してきた。
製鉄プロセスにおいては、鉄鉱石、石炭、水、電力などの多くの資源とエネルギーを必要とするが、当製鉄所では、必要とする電力の一部を賄うため、高炉、コークス炉及び転炉から発生した副生ガスを燃料とする発電設備に加え、コークス炉の乾式消火プロセスを利用した発電設備や、高炉の炉頂圧を利用した発電設備を導入するなど、製鉄プロセスで発生する副生エネルギーの有効利用を積極的に推進してきた。
このうち、JFE千葉西発電所1・2号機(77年運転開始)については、長年にわたり製鉄所内で発生する副生ガスの有効利用の一翼を担ってきたが、最新の設備と比較して効率面で劣っている点は否めない。
一方、05年2月には京都議定書が発効し、世界規模での地球温暖化防止対策が強く求められるようになり、わが国においては「京都議定書目標達成計画」(05年4月閣議決定)に基づいて温室効果ガス排出削減の取り組みが進められている。
資源、エネルギー集約型の産業である鉄鋼産業においては、さらなるエネルギー利用の効率化が社会的な責務となっており、当社においても日本鉄鋼連盟で策定した「温室効果ガス削減自主行動計画」に基づく取り組みを進めている。
こうした背景のもと、本計画は、JFE千葉西発電所1号機を高効率のコンバインドサイクル発電方式に更新するとともに、既設のJFEコンバインド発電所の設備を西発電所に移設集約して一元化を図ることにより、より一層のエネルギー利用の効率化を図る計画である。
また、本計画は、運転開始後の温排水や大気汚染物質による環境負荷を現状以下に抑制するとともに、冷却水の取放水設備や送電線などの既存設備を最大限に活用することにより、工事に伴う環境負荷をできるだけ抑える計画とした。
運転開始時期は、更新後の西発電所4号機は2012年7月、移設後の5号機は13年9月を予定している。
【特定対象事業の名称】
JFE千葉西発電所更新・移設計画
【特定対象事業により変更されることとなる発電所の原動力の種類】
既設汽力を廃止し、ガスタービン及び汽力(コンバインドサイクル発電方式)を新設する。
既設ガスタービン及び汽力(コンバインドサイクル発電方式)を移設する。
【特定対象事業により変更されることとなる発電所の出力】
本計画は、JFE千葉西発電所において既設1号機8万3000kwを廃止し、4号機25万kw級発電設備を新たに設置する計画である。また、既設2号機8万3000kwを停止し、定期点検時の予備機とする。
併せて、製鉄所内の発電設備の合理的な運用のため、JFEコンバインド発電所の設備を西発電所に移設する計画である。
〔現状〕
▽原動力の種類=①西発電所1号機:汽力②西発電所2号機:汽力③西発電所3号機:汽力④コンバインド発電所:ガスタービン及び汽力
▽出力=①西発電所1号機:8.3万kw②西発電所2号機:8.3万kw③西発電所3号機:13.8万kw④コンバインド発電所:14.9万kw
▽最大出力=45.3万kw
〔将来〕
▽原動力の種類=①西発電所2号機(予備機):現状どおり②西発電所3号機:現状どおり③西発電所4号機(新設):ガスタービン及び汽力④西発電所5号機(移設):現状どおり
▽出力=①西発電所2号機(予備機):8.3万kw②西発電所3号機:13.8万kw③西発電所4号機(新設):25万kw級④西発電所5号機(移設):14.9万kw
▽最大出力=53.7万kw
【対象事業実施区域】
▽所在地=千葉市中央区川崎町1番地(JFEスチール㈱東日本製鉄所(千葉地区)敷地内)
▽面積=約30万㎡
【工事概要】
主要な工事としては、基礎工事、機械等の据付工事がある。
基礎工事では、機械等の据付に必要な地盤改良工事、基礎掘削工事等を行う。機械等据付工事では、4号機は機器製作工場から、5号機は既設のコンバインド発電所から主要設備(ガスタービン、蒸気タービン等)を搬入し、据付工事、配管工事、ダクト工事及び配線工事等を行う。
なお、冷却水の取放水設備は既存設備を活用する計画であることから、海域の工事は行わない。
【工事期間】
▽4号機=着工:10年9月(予定)、運転開始:12年7月(予定)
▽5号機=着工:11年7月(予定)、運転開始:13年9月(予定)