厚生労働省は、建築物解体時に作業者がアスベストを吸入し健康障害を引き起こす恐れへの対策で、電動ファン付き保護具の使用など新たに取り組むべき方向性をまとめた。同省では「石綿障害予防規則」など関係省令の改正も検討しているが、これを待たずに「可能な限り速やかに対応」するよう、全国建設業協会や日本土木工業協会など109の建設関連団体に通知した。
アスベスト対策について厚生労働省は、18年9月に石綿障害予防規則を改正し対策を行ってきた。同省はさらに充実を図るべく学識経験者による検討会(座長・名古屋俊士早稲田大学教授)を設置。同会が8回の会合の末に取り組むべき方向性を報告書の中でまとめた。
報告書では今後取り組むべき方向性として、吹付けアスベストの除去作業時の呼吸用保護具は「電動ファン付き」など一定要件以上の性能を有するものに限定。
現場における粉じん濃度の測定には、現在研究が行われている「リアルタイム測定方法」が状況を連続的に把握できるため有効であり、方法が確立した際にはその活用を検討することを提示している。
また保護具や作業衣などの取扱い方法の明示と教育の徹底、分析結果記録様式の統一化などを挙げている。
同省では今後、省令の改正を検討している。しかし労働政策審議会への諮問やパブリックコメントなど手続きには時間を要することから、建設関連団体には「速やかに対応」するよう通知した。