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道路構造令/低コスト1・5車線を推奨

2008/10/10 本社配信

 道路を新設・改築する際の技術的基準を定める「道路構造令」。全国統一の基準だが、その画一性が地域の実情に合った道路整備の妨げになり、「国の地方に対する縛り」などの指摘もある。これらを踏まえて国交省は見直し作業を始めた。道路構造令の何が問題で、またどのような対応が考えられるのだろうか。

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 道路構造令は、道路の新設・改築において安全性や円滑性を確保するうえで最小限保持すべき技術的基準として定められている政令。昭和45年に制定された。道路を都市・地方、平地・山地、交通量で区分し、線形・幅員・勾配・車線数・歩道などの構造を規定する。

 この規定が「画一的であり過大」と非難されている。歩行者が少ない地域での両側歩道設置、交通量が少ない道路の(両側)2車線、また道路の曲線(カーブ)部分の半径の規定などが「高コスト」「地域の事情に即していない」と槍玉に挙げられている。

 しかし道路構造令には特例規定があり、「やむを得ない場合」は基準を緩和しての道路整備も認められている。だが地方としては「やむを得ない場合」の判断基準がわからず申請をためらうケースが多いという。基準を満たさなければ交付金が受けられないことも理由の一つだろう。また独自規格で整備した道路で事故が起きた場合に責任を問われることにも不安があるようだ。結果として、特例規定は十分に活用されていない状況だ。

 こうした現状を変える方策の一つに1・5車線道路の整備がある。山間部など交通量が少なく、また道路用地の確保も難しい地区において「1車線改良+待避所設置」を整備することで、地域に見合った道路を低コストで実現することができる。

 この1・5車線道路は、高知県が独自に始めた方式。現在は交付金の対象になっており、19年度には34道府県で実施されている。国交省としても「今後さらに1・5車線道路を推奨していく」(道路局企画課)という。

 歩道設置についても、地域の状況に合わせて「道路管理者が判断する」という運用見直しも考えている。さらにさまざまな運用方法をまとめた事例集も作成する見通し。一方で地方が判断に迷う「やむを得ない場合」については「そもそも道路構造令は幅のある政令のため、具体化することはしない」(同)という。

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 国交省は全自治体を対象としたアンケートの結果を元に改善策を検討し、年内に提言をまとめる。この提言を踏まえて具体的な改正や運用見直しに着手する方針だ。地域の交通事情や財政事情に見合った構造で、安全な道路整備が可能となるかどうかは、この見直し作業にかかっている。


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