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塩爺による時局講演/民間の力を活用すべき

2008/10/17 本社配信

 日本工業経済新聞社が加盟する日本専門新聞協会の大会が15日に行われ、元財務大臣の「塩爺」こと塩川正十郎氏が講演した。塩川氏は平成13年1月発足の小泉内閣で財務大臣を務め、平成15年10月の政界引退後も東洋大学総長、自由国民会議代表などとして現在も活躍している。講演では建築基準法などの規制が経済を弱体化させていること、マスコミ報道もそれに拍車をかけていることを指摘。またPFIなどにより民間の力を活用すべきと提案した。

 講演の概要は次のとおり。

   ◇   ◇

 最近は、活字離れが進み、ある意味では情報不足ともいえる時代になった。一方で最近のマスコミによる報道はエキサイティングの傾向にある。もっと読者の側に立った報道をすべきだ。

 最近の政治について言えば、どんな経済政策をやるにも、まずは閉鎖した空気を変えなければならない。最近は規制が復活しすぎている。

 特に建築業界は気の毒なほどに景気が冷え込んでいる。改正建築基準法で建築確認の審査が進まない状況にある。こうしたことが経済的に陰気な空気をかぶせている。

 事件が起きればマスコミは「予防策を講じろ」と言う。そして小さな失敗を起こさぬようするために大部分の人に迷惑がかかる社会になった。もっと大らかにすれば経済は活気が出てくる。

 年金や医療など国の負担は年々増えているが、財源がないために色々な部分を削っている。もっと国がもうけることを考えるべきだが、全然やらない。

 日本は官僚の考え方が法律になっている。政治家は法律を読みもしない。一番良い例が建築基準法だ。今ごろになって「何でこんな改正をしたのか。これではマンションが建たない」と騒いでいる。政府は、規制が国民生活に影響を与えていることを考えて、もう一度見直すべきである。

 公共事業は税金をつぎ込むので限界がある。だから、文部科学省の庁舎のようにPFI方式をもっと活用すると良い。民間の力で都市を改造すべきである。

 また公団・公社・公営住宅の中には昭和30~40年代の古いものもある。エレベーターが無く、4階5階は空いている状況だ。こうした公営住宅の広大な敷地に1000戸ぐらいの住宅を建てて老人を無料で入居させ、1階に病院を入れたら良い。余った土地は民間に売れば良いのではないか。 日本はしっかりとした国だ。もっと自信をもって欲しい。


塩川正十郎氏000476.jpg

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