13日に開かれた参議院の国土交通委員会で自民党の脇雅史議員が質疑を行い、建設業界の現状や公共工事品確法、更には予定価格などについて、本質論から追及した。
脇議員は発注者による入札契約の運用が建設業界を疲弊させている点を指摘。「(発注者は)会計法の原理原則が最善だと思っている。一番安い人と契約するのが良いと思っている。景気が右肩上がりの時はそれでも問題ないが、右肩下がりの中でやるとどうなるか。コスト割れ、赤字で仕事をしている。赤字だと、(工事の)手を抜くか、従業員の給料を安くする。今のパターンは、会計法が最善だと思っている発注者による政策不況。自らがそうしている。問題は、発注者が良いことをしていると思っていること。正しいと思ってやっている人は手加減をしないというのが、人類の歴史。発注者に自覚がない」と断じた。
さらに「公共工事が原価割れしているということは、差額分はサービスになっている。無理矢理に金を取っている。職人から取っているに等しく、だからこの世界に人が入ってこない。それなりの利潤がなかったら会社はやっていけない」と述べた。
また公共工事品確法については「物品などを除き、全部総合評価をやる義務がある。総合評価方式の実施率を10%から40%に上げたとかいう話ではない。法律で全部やれと書いてある。罰則がないのは、知事や市町村長が法律違反をするはずがない、守って当たり前だから。そのことを理解してほしい」と話した。
さらに、予定価格についても持論を展開した。「落札率は、予定価格がおかしかったら意味がない。予定価格とは何か。こんなものは単なる参考値。上限拘束の意味を考えると、何も会計法で市場を縛るという意味ではない。予算管理上、その金額を用意して契約に臨むということだろう。売り手と買い手の間で決まるのが、市場価格。予定価格は目安であり、落札率が90%を超えたらおかしいというのはナンセンス。落札率というのは特殊な用語であり、発注者は使わないほうが良い」と述べた。
この点に関し、答弁に立った国土交通省の関克己技術審議官も、「入札契約の適正化や談合の有無を、落札率の高低のみを持って評価すべきではない」と明言した。
さらに脇議員は入札後に予定価格を作成する考え方について言及し、「最初は荒唐無稽だと思ったが、よく考えたら結構良い。見積書、施工計画書、技術提案書、ヒアリングで決めると、予定価格はいらない。事前に予定価格を持っている必要はなく、仮契約しておけば良い」と語った。
脇議員の指摘は、全国的な議論に発展している予定価の事前公表か事後公表かにも関連する。自治体が事後公表を拒む最大の要因は“天の声”による官製談合や、予定価格を探る行為を防ぐためとされている。しかし、そもそも入札前に予定価が存在していなければ、そうした心配もない。金子一義国土交通大臣は答弁で、総合評価の高度技術提案型などで予定価の事後作成を進めていく考えを述べた。