横浜市水道局は、川井浄水場(旭区上川井町二五五五)の膜ろ過装置の採り入れをメーンにした再整備事業民間について、資金力やノウハウや活かすPFI事業を導入することを決め、業者選定を進めてきたが五日、メタウォーター㈱を代表する企業グループを落札者とすることを発表した。落札価格は二百六十五億二千八百万円余(消費税除く)。二十六年四月からの施設の運転に向け、契約の手続きを進める。。
川井浄水場は、明治三十四年の築造と市内の浄水場の中で最も古い施設だ。これまでに昭和三十年代から五十年代にかけて改修・改築されたものの、老朽化が著しく、耐震性にも問題があった。川井浄水場の水は、県北の相模川や道志川から水を引き、ポンプなどの動力を必要とせず自然流下で送られたものを処理し、配水池で調節し、そこから旭区、瀬谷区、緑区、青葉区方面へ給水している。一日当たり一〇六、四〇〇立方㍍を処理し、供給している。
更新事業は、浄水施設の耐震性のより一層の向上、地震に強い浄水施設に再整備するほか、水質・水圧の面で、有利な自然流下系の浄水場を優先的に再整備して、高低差を利用した位置エネルギーによる処理方式とともに、一浄水場一水源系統の合理的な水運用を行うため、計画された。道志川から一日あたり一七二、八〇〇立方㍍の原水を取り入れ、膜ろ過方式で浄水し、供給する。三〇、〇〇〇立方㍍規模の配水池を新設するほか、管理棟などを整備する。PFIは、事業者が施設を整備し、水道局に所有権を移転した後に、事業者が維持管理を行うBTO方式によるものだ
水道局では六月に施設整備と二十年間の運転と維持管理を行う企業グループを条件に入札公告を行い、業者を募集した。選定は横浜市PFI事業審査委員会で審査に当たり、膜ろ過装置の製造を担当するメタウォーター㈱を代表企業に、メタウォーターサービス㈱(第三者委託受託者)、三菱UFJリース㈱(財務管理)、月島機械㈱(汚泥有効利用管理)、東電工業㈱(機械・電気工事)、東電環境エンジニアリング㈱(維持管理)、東京電力㈱(エネルギーの供給)で構成されるグループを選定した。
審査委員会では、グループの耐用年数二十一年以上を確保したセラミック膜をはじめ、水圧を最大限活用できる位置に配置した膜ろ過棟、耐震性能に優れて鉄筋コンクリート構造を全施設に採用、配水地及び脱水機棟上部に太陽光パネル設置、植樹率40%以上を確保などの点を評価した。今後は二十一年三月までに契約手続きを交わし、四月から二十六年三月までに浄水施設・配水池などの整備を行い、二十年にわたる膜ろ過施設の運転、維持管理を始めるとともに、附帯施設などの整備に取りかかる。