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高津区の大山街道の活性化目的/マスタープランを策定

2009/01/20 日本工業経済新聞(神奈川版)

 川崎市は十五日、高津区を抜ける大山街道を軸にしたまちづくり案「高津大山街道マスタープラン」を策定し、発表するとともに、案に対する市民からの意見募集手続きを開始した。

 大山街道は、江戸時代に、江戸(東京)から伊勢原市にある大山阿夫利神社へ向かう道として、整えられた道であるとともに、当時の東海道、甲州街道の脇往還として物流の道としての役割を担っていた。それ以降も、文人が集う文化交流の道として賑わいを見せ、蔵づくりの建物が現存し、今も区民祭や、大山街道フェスタが開かれるなど高津区を約三㌔にわたって縦断する同街道は、区民にとってシンボルロード的な存在となっている現在の東京都から川崎市北部、横浜市北部を抜け、静岡県沼津市に至る国道246号は、大山街道に沿うように走っている。

 街道を軸にしたまちづくりについて市では、これまで沿道の商店街との間で、平成十五年に大山街道活性化のための大山街道活性化推進協議会」を発足させ、十八年には「高津大山街道活性化プラン」をとりまとめている。

 マスタープランは、市境を流れる東急田園都市線二子新地駅に近い二子の渡しから溝の口駅付近の栄橋交差点までの約一・五㌔とその周辺を対象に、街道及び周辺に残っている歴史的・文化的な資源を保全・活用し、魅力的な空間創造と地域活性化を図ることを目的に策定されたものだ。老朽化による建替えや、オーナーの世代交代や社会情勢の変化、道路整備などを契機に歴史的資源が消失、商店街の衰退、通過交通量の多さに反して七・二七㍍と狭い幅員のため、交通安全に対する危険性などを課題に挙げたうえ、前記活性化プランと連携を図りながら、街道沿いを市の主要な観光資源の一つとして位置づけの下、道路整備や、景観形成、建築物の保全・活用を進めながらの歴史的建築物を活用した賑わいの創出など、三十年度を目標に施策が盛り込まれている。

 歩行空間のカラー化等による交通安全の確保、景観形成に配慮した溝口緑地の再整備や景観にふさわしい色彩、デザイン、文字などを工夫した案内サインの設置を進めていく。さらに、この中で、特に歴史的資源が集まるJR線武蔵溝ノ口駅及び東急線溝の口駅に近い神社周辺を「自然・探索」、大山街道ふるさと館周辺を「まちづくりの拠点」、高津小学校付近を「みどりと文教」、二子二丁目公園周辺を「学びの場」、旧二子の渡し周辺を「回遊性の拠点」と重点地域に位置づけ、整備を進める考えだ。

 市では、この案に対する意見募集を二月十三日まで募ったうえ、それを反映した案の策定にあたる。





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