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現場代理人兼務の容認/国交省は静観

2009/03/12 本社配信

 地方公共団体で、同一管内・小規模工事に限り現場代理人の兼務を認める動きが出てきた。国土交通省が実施を働きかけているわけではなく、2次補正予算工事への対応といった観点から、各自治体が独自に知恵を絞り出している結果のようだ。同省建設業課への報告なども特段、ないという。

 国交省の直轄工事に関しては、兼務を認める議論は出ていない。そもそも現場の規模が自治体より大きいということに加え、内部からは、中央建設業審議会の勧告に対して同省自身が違った解釈は取れないという意見も聞こえてくる。

 現場代理人の専任は、国土交通大臣の諮問機関である中央建設業審議会がまとめ、各発注者に活用するよう勧告している「公共工事標準請負契約約款」で定められているもの。

 第10条で「工事現場に常駐し、その運営、取締りを行う」よう規定されている。ここでいう常駐とは、当該工事のみを担当していることだけでなく、作業期間中、特別の理由がある場合を除き常に工事現場に滞在していることと解釈されている。

 約款見直しは中建審マターになる。現場代理人の常駐も、携帯電話などが普及する前に決められた内容であることから、省内から問題意識の声は聞こえるものの、中建審を開催して10条を改正する話は現時点でまったくないという。

 ただ現場代理人は法律上で規定されているものではない。中建審の勧告に拘束力もないため、勧告に則った契約書の解釈を変えるのは各発注者の判断でできると言える。

 与党では現在、平成21年度予算について史上最大級の前倒し執行(早期発注)を議論しており、全国的に広がる可能性も現実味を帯びてきた。その際の一時的な工事量増加に対応するため、現場代理人専任性緩和の動きは今後も地方公共団体で広がる可能性がある。

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