「毎回同じ問題が出ているが改善されていない」。建設産業関連団体で組織する長野県建設生産システム合理化推進協議会(佐々木力会長)と国土交通省が19日に行った意見交換会で、協議会はいらだちの声を上げた。
会合には測量・設計、電設、生コンクリート団体などの各代表のほか、全国建設産業団体連合会の浅利浩光専務理事、建設業振興基金の今泉登美男調査役らが出席。公共事業や住宅着工の減少に加え、若者の建設業離れ、高齢化、労務賃金の低下などで人材確保や技術伝承が困難な現状について、打開策を話し合った。
協議会はまず、若者の建設業離れについて「賃金が安い、残業が多い、休みが少ないなど、就労環境が要因」としたうえで、「我々も雇用の維持に努力しているが、ダンピングが横行する現状では限界がある。これだけ事業量が減っているのだから低入札が起こるのは当たり前。解決するためには、最低制限価格を90%以上に上げることが必要」と強調した。
これに対し建設市場整備課の八木俊樹課長補佐は「ダンピングに関しては、来年から立ち入り検査を実施していく。労務単価は法律的なものであるが、積算価格の労務費がきちんと労務者に反映されているか見直してほしい」と語り、「低入札の横行が労務単価の低下に大きな影響を与えていると思われるが、素晴らしい技術を持ち努力している企業もたくさんあり、一概には言えない。持ち帰り伝えておく」と回答した。
労務単価に絡んで協議会は「デフレにより下がる一方。総合的に単価を上げるべき。しかも国交省の査定賃金は低すぎる。賃金は国交省ではなく各県が決めて、地域に合った査定ができないものか」「調査価格85%を撤廃すれば労務単価も上がって行くのでは」と提案。八木課長補佐は「参考に持ち帰り検討する」と返答した。
協議会は「きょうの話にあなた方が責任持てるなら是非改善をしてほしい。我々は常に真剣。命を懸けている。毎年進歩のない話し合いでは時間の無駄」と詰め寄るなど、煮え切らない回答にいらだった様子も見せた。
また、浅利専務理事は、工事を円滑に進めるための工程改善策や工期短縮などを説明。「ワンデーレスポンス制度を活用して、設計者も含め、受発注者が実施工程表を共有し、工事を効率的に進めること。これが工期短縮につながり、安全の確保、利益の確保になる」と力説した。
【写真㊤=佐々木力会長。㊦=意見交換会の様子】