建築文化を後世に--。21日、小寺群馬県知事をはじめ、山口県議会議長、左官職人約20名のほか、関係者約200名が参加し、昭和庁舎の北西隅の西側壁面前で「こて入れ式」が行われた。同庁舎の壁面を、左官仕上げによるしっくい調工法で行うことにより、伝統的工法の継承と県内左官技能士の技術力アップを図るの狙い。
式典であいさつに立った小寺知事は、昭和庁舎が日本でも昭和初期の建物として数少ないものであることを報告。「阪神淡路大震災が契機となった建物の構造調査でも、セメントの強度は意外にもしっかりしていた。
このようにしっかりした建物は、ごつい工事ではなく、原形を生かした形で残せる。西側面については、いかに作るかが課題であったが、建築の美学、技能の継承などの大切さなどを検討した結果、しっくい調となった」と、これまでの経過を述べ「建物がきれいに、美しく完成することをお願いします」と、結んだ。
さらに、山口議長が、建設当時の庁舎復元を目指し現場で汗を流しながら作業を行っている技術者たちへ労いの言葉を贈り「伝統のある左官仕上げは雨にも強く、今から完成を待ち望んでいます」と、無事故での完成を願った。
また、職人の代表として日本左官業組合連合会長、全国左官技能競技大会審査委員長などを歴任、名実ともに日本一の左官職員として現在も活躍している森田兼次氏(前橋市在中)が「群馬県で開発した工法で、昭和庁舎の壁面が仕上げられることは、大変に名誉なことです」とあいさつ、小寺知事から「こて」の贈呈が行われた。
「こて入れ」は、森田氏のほか、2名の左官職人で無事終了、最後に昭和庁舎改修工事を担当する清水建設の新井現場代理人が、工事の無事完成を目指して「締め」を行った。