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官積算100%も一案/新規工種発生の場合/設計変更 甲乙ルール検討

2009/05/01 本社配信

 国土交通省は直轄工事の設計変更で、新規工種が追加となった場合の変更金額算定ルールの検討を開始した。詳細はこれから固めるが、落札率を乗じずに、官積算100%の金額で対応する手法も一案として挙がっているもようだ。実現すれば、現場での適正利益確保に大きく寄与することになりそうだ。

 設計変更に関しては、発注者に認めてもらえるかどうかという本質的な問題点のほか、変更金額を決める際、入札時の落札率を乗じる計算式を是正してほしいという要望が、しばしば寄せられている。

 背景には、近年の価格競争激化があるとみられている。落札率を乗じる計算式の場合、仮に赤字受注だった場合は、設計変更によって更に赤字が増えることになってしまう。落札率70%台や80%台の契約が増えている昨今においては、看過できない問題として浮上しつつある。

 とりわけ懸案となっているのが新規工種が追加されるケースだ。設計変更で新たな工種が発生する場合、甲乙協議の建前論では受注者が断ることも可能だが、現場の実態としては受け入れざるを得ないことが大部分とされる。

 新規工種の場合は、施工体制が異なるケースもある。具体的には新しい下請会社を加えないと対応できないことがあり、そうした場合でも、変更額を算出する際に落札率を乗じることへの不満が業界側にはある。

 このため国交省では、施工体制が変わるような新規工種を追加した場合は、新たな甲乙協議のルールを作成する方向で検討に入った。変更金額の計算方法をどうするかが最大のポイントだが、落札率を乗じるのではなく、官積算100%の金額で対応する案も浮上しているもようだ。

 設計変更の新規工種追加に関しては関係者間でも様々な意見が出ている。そもそも当初の契約段階できちんと見極めて工事発注するべきという指摘もある。ただ「地球を相手に仕事する」要素の強い土木工事の場合、着工後に予期せぬ事態が発生することはやむを得ないという見方もある。

 一方、新規工種が発生した場合は、別の工事として入札契約すべきという指摘もある。変更見込金額が請負代金額の30%を超える工事は、一体不可分の工事を除き、基本的には別途の契約とすることになっているからだ。

 設計変更の適正化に国交省は力を注ぐ考えで、新規工種追加時の新たな甲乙協議ルールと同時期に、総価契約単価合意方式の適用拡大を正式に打ち出す予定としている。同方式は、契約後に総価の内訳としての単価を受発注者間で合意しておくもの。ユニットプライス型積算のためのデータ蓄積などで、既に用いられている。単価合意している場合は、施工途中で設計変更が発生した場合、変更数量に合意単価をかけて合理的に金額を算出できることから、円滑な設計変更を実現できるメリットがある。

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