国土交通省は15日、最低制限価格および低入札調査基準価格が90%に引き上げるよう、算定式の改定を都道府県や政令指定都市に通達した。現在の建設産業を取り巻く環境が厳しいことを考慮して、適正価格での契約を図り企業経営を支援するもの。建設業にとっては赤字受注からの脱却により雇用の維持や継続的経営が可能となる。
最低制限価格が90%になるような算定式の改定は、すでに新潟県や佐賀県、長崎県が行っている。通達ではこれら3県を参考にして実施するよう求めている。また都道府県に対しては政令指定都市を除く市町村への周知徹底も要請している。
90%への引き上げは、自民党の公共工事品質確保に関する議員連盟(品確議連、古賀誠会長)が示していた。品確議連は今月13日に開催された総会で、前倒し発注や総合評価方式の徹底・改善などのほか、地域建設産業労働者の雇用確保や地域建設産業の再生、そして最低制限価格の引き上げを公共事業発注機関に対して求めていた。
今回の通達を機に全国の都道府県・市町村で最低制限価格が引き上げとなれば、下請けへのしわ寄せの緩和、品質の向上などにも期待できる。
通達ではこのほかに最低制限価格制度および低入札調査基準価格制度の対象工事の範囲拡大も要請。またこれらの制度を導入していない市町村(全国で約2割)について、早期に導入できるよう都道府県が支援することを要請している。
建設業課では「適正価格で受注できることで、社会資本が整備されるとともに経済効果としてお金が世の中に回る。積極的に検討してもらいたい」と述べている。