国土交通省は2日に第1回CALS/EC推進会議(座長・島崎敏一日本大学理工学部土木工学科教授)を開いた。3月末に策定した「CALS/ECアクションプログラム2008」で掲げた目標の達成に向け、5つのワーキンググループ(WG)を設置し、具体的な検討を行うことに決めた。
まず「受発注者間のコミュニケーション円滑化WG」は、ASP(情報共有システム)活用ガイドラインを策定する。ASPを地方整備局で選定し、モデル工事で試行する。さらに発注者協議会を通じて、ブロック内の地方公共団体にASP導入を働きかける。また「三者会議」「ワンデーレスポンス」「設計変更審査会」のフォローアップを行い、改善する。WGを総括する主査は、技術調査課の大西亘建設システム管理企画室長。
「電子納品化WG」は、電子納品運用ガイドラインを出し、徹底するための方策を議論する。また既存の電子納品要領、ガイドライン、整備局の手引きを整理・統合した解説書を作成する。このほか設計成果品の流通に関する方策を議論する。主査は同課の石原康弘建設技術調整官。
「3次元データ利活用WG」は調査・設計、施工、維持管理に渡って3次元データを流通、利活用し、CALS/ECの高度化を図る。モデル工事で検証することにしており、今年度は橋梁を対象とする。主査は国総研の遠藤和重情報基盤研究室長。
「品質検査WG(二重納品排除WG)」は、電子データによる完成図書納品や検査対応のほか、電子データを用いて現場での打ち合わせを実施していくために、具体策を検討する。またシステム開発と実施要領も議論する。主査は大西建設システム管理企画室長。
「技術者育成・活用WG」は、CALS/EC資格者など電子納品にかかわる資格の活用を検討する。また国交省職員の能力向上に関する技術者育成プログラムを作成し、21年度内に開始する。主査は石原建設技術調整官。
コミュニケーション円滑化WGは7月、そのほか4つのWGは6月中の初会合を予定している。
2日の推進会議では、ASPに関する意見が多く挙がった。導入の目的として技術調査課は「受発注者間のやりとりの効率化を図る」ことを説明した。現状で、整備局と事務所と地方公共団体で、どこまで統一的に運用すべきかという課題がある。委員からは「なるべく共通のものを使ってほしい」「色々なASPがあるが、データの連携をとり、共通して使えるようにすべき」などの発言があった。
ASPは直轄工事の場合、7地整など(北陸・中部・近畿・中国・四国・北海道・沖縄)で導入済み。関東整備局は試行(2事務所6件)の段階となっている。