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富士山ハザードマップ検討委員会、第1回基図部会が10日に開催

2001/09/18 山梨建設新聞

 内閣府、総務省、国土交通省が設置した、富士山ハザードマップ検討委員会の第1回基図部会が10日、東京都のホテル・ルポール麹町で開かれた。

同委では、各自治体においては、溶岩流が自分のところに流れてくるかどうかということが重要であり、自治体の立場に立って、溶岩流がどこに流れてくるかというシミュレーションが必要であり、どこかの段階で行って欲しいや、今後、富士山で発生する可能性の高い噴火として、中小規模の噴火の想定が必要ではないか。富士山防災マップとしてまとめると、その他の災害が隠れてしまうこととなり、富士山地域のすべての災害と誤解されるので、用語や説明を考慮すべき--等の様々な意見が出された。

 同日はまず、台風15号がが接近していたため、関係都県、市町村の委員、オブザーバーに対し、防災対策に万全を期してもらうため本部会への出席を求めず、今後今回出席できなかったこれらの機関のために今回の審議内容を説明し、意見を聞く場を設けたいと考えている、という連絡が行われた。

 このため、同委員会の出席は、荒牧部会長、新谷委員、石川委員、石原委員、井田委員、鵜川委員、宇都委員、小山委員、広井委員、藤井委員、宮地委員、布村委員、務台委員、岡本委員、小宮委員、高橋内閣府政策統括官(防災担当)、北里内閣府審議官(防災担当)などとなった。

 委員会では事務局から、①検討を進めるに当たって整理しておくべき事項②今年度試作する防災マップで対象とする噴火等③検討対象とする噴火等ケースとシナリオの考え方④数値シミュレーションについて、小山委員・宮地委員から①新富士火山の噴火史の概要②宝永噴火の推移等について、の資料の説明があり、これに基づき質疑が行われた。

 同委では今後、来月9日(火)14時から第2回活用部会、同月31日(水)10時から次回の基図部会を開催する予定。

 質疑等の概要は以下のとおり。

 ▼富士山の活動ステージについては、現在が2、200年前から始まったステージなのか、その前から続いていると考えた方が良いのか、それとも宝永噴火を契機に新しいステージに入ったかどうか等について、今後、続けて検討しなければいけない。

 ▼今後、富士山で発生する可能性の高い噴火として、中小規模の噴火の想定が必要ではないか。富士山防災マップとしてまとめると、その他の災害が隠れてしまうこととなり、富士山地域のすべての災害と誤解されるので、用語や説明を考慮すべき。

 ▼宝永噴火後の土砂の2次移動現象は、広範囲にわたって繰り返して行われたと考えられることから、今回報告のあった酒匂川以外の河川の史料調査が必要。

 ▼2、200年前から現在までのステージに火砕流が起きていないから今後起こらないとか、中小規模の噴火が多いから中小規模の噴火を取り上げるとか、単純に決めることはできない。

 ▼最近のステージで噴火口が一定区域に集中しているのは、表層的な地盤構造に起因するのではなく、プレート運動等に支配されていると考えられる。

 ▼防災マップ作成の対象とすべき噴火等ケースの問題意識がはっきりしてきており、活用部会での検討のためにも基図部会での検討が必要。

 ▼各自治体においては、溶岩流が自分のところに流れてくるかどうかということが重要。自治体の立場に立って、溶岩流がどこに流れてくるかというシミュレーションが必要であり、どこかの段階で行って欲しい。

 ▼富士山の噴火経緯は、他の火山に比べると非常に良くわかっているほうだが、3、000年前以前の火山活動は良くわかっていない。特に、8、000年前から3、000年前の溶岩流についてはほとんどわかっていない。

 ▼数値シミュレーションや、富士山の火山活動履歴調査については、ワーキンググループを設けて詳細に検討したい。



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