国土交通省は「不調・不落工事に関する入札・契約上の当面の対策」をまとめた。対策は①入札・契約段階におけるインセンティブの向上②契約後におけるリスクの軽減③次回契約への反映―に分けて整理しており、現状で考えられる施策をそれぞれにフル動員している。指名競争から一般競争へとシフトしたことで入札不調が急増していることから、各種施策の“合わせ技”により、不調の撲滅を目指す。
入札契約段階では、予定価格の作成にあたり応札者の見積もりを活用する積算方式を拡大する。19年度約110件、20年度約300件で適用してきたが、21年度は約400件で実施する。
詳細設計付工事の発注も21年度は、従来から取り組んでいる機械設備系の工事に加え、橋梁補修、電線共同溝などの案件で新たに実施する。施行者のノウハウを反映し、現場条件に適した施工を可能にする狙いがある。
契約後のリスク軽減では、条件明示の適正化を図る。関係機関との施工協議の結果、条件変更が生じる可能性のある日当たり施工量を明示することで、適正に設計変更を行う。
また20年度に関東整備局が10件で取り組んだ間接工事費実績変更方式について、今年度は近畿、中部整備局も実施する。機械回送費や安全費、現場事務所費などについて、「実際にかかった費用をきちんと支払う」ことを明示する。
次回契約への反映では、関東整備局が独自に取り組んでいる難工事施工実績評価について、昨年度の約200件から、21年度は約400件へと倍増させる。社会条件やマネジメント特性の厳しい工事をきちんとやり遂げた場合に、その後の総合評価で加点する。
新たに複数年契約の実施も打ち出した。道路維持事業(路面維持・除草・構造物維持・清掃)について、複数年の国庫債務負担行為を設定する。21年度からの取り組みで、約10件での実施を考えている。
8地方整備局における平成20年度の不落・不調件数は1659件で、全体工事件数の13・1%を占めている。19年度の1961件(15・2%)からは減少しているものの、抜本的な解決には至っていないのが現状だ。
不調の特徴としては6000万円未満の少額工事で発生割合が高い。また工種別発生率は機械設備工事、鋼橋上部工事、建築工事が高く、19年度と同じ傾向となっている。