県庁舎耐震化等整備を進める県総務部管財課は、議事堂改修工事の実施設計を馬場設計(甲府市)へ委託、来年6月までを納期とした。設計にあたっては、官庁施設の環境配慮診断(グリーン診断)を実施し、ライフサイクルを通じた環境負荷の低減に配慮しながら進める。工事は内部改修が主で、建設事業費は来年度の補正で対応する見通し。このほか、25~26年度には委員会室棟の改築工事も予定されている。両施設の建設工事は概算で17億円程度になりそうだ。
このうち、昭和3年に竣工した議事堂は、RC造地上2階地下1階建てで、延べ4167㎡の規模。老朽化が進んでいるが、教育委員会から貴重な遺構であることから、文化財的価値を損なわないよう配慮し、正面玄関入口にスロープ、エレベーターの設置、傍聴席の増設及び通路のフラット化、省エネルギー化などを整備していく。さらに、議場の段差を解消するため、速記者席を撤去のほか、外壁内側及び屋根に断熱層を設ける。照明設備の高効率機器への更新や、暖房設備は夜間電力を利用した空調システムに改修。1階に各会派、2階に各会派控え室、議会運営委員会室及び議会事務局、地階に議会図書館、会議室をそれぞれ配置する。
一方、Is値が0・54と低く耐震化を必要としている委員会室棟は、現施設(延べ548㎡規模)を取り壊し、その場所に1・3~1・5倍に拡大された2階建て延べ1200~1350㎡の棟に改築。1階に第1~第4委員室、2階に議長室、応接室、副議長室、会議室、議会事務局を集約し配置する。工事は、防災無線鉄塔が防災新館へ移転される25年度以降の発注になりそう。
県庁舎がある甲府市は、今後30年以内に震度6以上の地震が発生する確率が約82%と極めて高い現状。しかし、耐震診断の結果庁舎の多くは耐震基準(Is値0・6)を大きく下回っている。このため、文化財的価値の高い別館や議事堂は耐震改修等を行い、そのほか、耐震化が必要な庁舎は防災新館として集約建替えされることになった。
【写真=改修される議事堂】
【写真=解体し改築される委員会室棟】