記事

事業者
群馬県県土整備部

県県土整備部/リサーチ/ダンピング対策

2009/08/13 群馬建設新聞

昨年度における県県土整備部のダンピング対策(最低制限価格と調査基準価格の適用)で、前年度から引き続き、特定の業種で失格や低入調査が発生していることがわかった。失格が多い工事は造園件、土木件、電気件、とび5件、管5件、舗装4件―など。一方の低入調査が多い工事は電気・通信5件、機械3件、橋梁上部2件、建築解体撤去2件―などとなっている。

同部では昨年度、2101件の発注のうち、最低制限価格を設けた案件が1947件に上り、調査規準価格は103件で適用させた。両価格とも設けていない非適用案件は件で、割合にすると・6%だった。前年度は2048件のうち、非適用が件で・1%の適用率であった。同部では「品質確保の考えが浸透し、ダンピング対策を適用する工事の割合が増えてきている」との見解を示している。

その一方、最低制限価格および調査規準価格を下回り、調査実施または失格となった工事などの割合は、平成年度と比べ0・5%ほど微増した(年度は3・5%、年度は4・0%)。

最低制限価格と調査規準価格をそれぞれ見てみる。

最低制限価格では昨年度、適用件数1947件中件の失格が発生した。発生割合は3・5%だった。年度は1808件のうち、失格は件だった。発生割合は3・0%で昨年度よりも発生率は少なかった。

調査規準価格については昨年度、適用件数103件中、件で調査を実施。調査実施割合は・6%だった。前年度と比較すると、年度は適用件数161件中、件で調査を実施した。調査割合は8・7%で、割合にすると年度よりも3・9ポイントも少なかったことになる。

くじ引きによって落札者を決定した件数を見てみると、年度が件(発生割合は0・5%)、年度が9件(発生割合は0・4%)とほとんど変化はないようだ。

県では、昨年8月の入札契約制度改正において、調査規準価格の下へ失格基準価格を設けることに決めた。失格基準価格の設定については、予定価格の5%以上下回る場合は調査せず失格としている。算出は、この予定価格に5%(0・05)を乗じた金額を調査基準価格から引いた総計が失格基準となる(予定価格1億円、調査基準価格8500万円の工事があったとするならば、予定価格1億円×0・05=500万円。調査基準価格8500万円―500万円=8000万円。この総計8000万円が失格基準となる)。また、最低制限価格制度についても改正を行い、予定価格の3分の2~%としていた限度額の上限を%へと変更した。その失格基準価格を下回る案件に関してはなかった。

さらに、今年度からは最低制限価格と調査基準価格の算定式を従来の「直接工事費の100%+共通仮設費の100%+現場管理費の%に100分の105を乗じた額」から「直接工事費の%+共通仮設費の%+現場管理費の%+一般管理費の%に100分の105を乗じた額」へと見直した。

国では、県が今年度から適用を決めた算定式のうち、新たに現場管理費のパーセンテージ部分を%から%へと変更したほか、これらの価格を設定できる範囲を従来の「3分の2~%」から「%~%」へと引き上げた。

この引き上げを受け、本紙では県契約検査課の針谷宗人課長へ県の動向を取材したが、その際「本県の場合は低入札案件自体も少なく、工事検査の結果、品質も確保されている。4月から算定式を改正したところであり、近隣県の動向を見定め、導入の時期を検討していく」と話していた。

県の発注における調査実施数ならびに失格数は、微増ではあったものの、対策を講じなければならないという事態には陥っていない。算定式も今年度から見直したということもあり、国が再改正したとしても県が再改正するということは、時期尚早である感は否めず、県も同様の考えだろう。ただ、ダンピング受注を行う一部の不良不適格企業のせいで、地域に根ざす優良企業の経営がひっ迫し始めていることは周知の事実であり、各市町村の早期の対応、また県の対応も今後迫られるのではないか。


紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら