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横山晴生技術調査課長就任インタビュー/「総合評価シンプルに」/受発注者双方の労力軽減へ

2009/08/21 本社配信

 国土交通省の発注行政を指揮する横山晴生技術調査課長は20日に就任インタビューに応じ、総合評価方式について「システムをどんどん複雑にしていくより、簡素化できる部分はシンプルにしていきたい」という考えを述べた。技術提案書について、ボリューム重視となりがちな現状に問題意識を示している。簡素化の具体化についてはこれから詰めるが、実現すれば、受発注者双方の労力軽減につながる。

 横山課長は「総合評価は、この数年間で色々な取り組みをしてきたので、だんだん複雑になってきている。総合評価そのものは非常に意味があり、その方向性は変わらない。ただ一つひとつのやり方をみていくと、段々重くなっている。大事なところはきちんと残して、簡素化するとか、ポイントを絞るとかできるところはやっていきたい。そうしたことを考えるべきタイミングだと思っている」と話している。

 このほか認識している課題としては、不調不落対策を挙げた。「色々な取り組みをしているが、まだまだ考えていかなければいけない。見積もりの活用や大都市補正をやっているが、それですべてではない。見積もり方式のデータを収集し、我々の積算で実態と乖離があるところを潰していくことも大事」と述べた。

 また公共事業の品質確保の観点から「企業を適切に評価し、育成していくことが大事。しっかりした仕事をしていただける会社がきちんとした評価を受けて、次の仕事をやっていける良い循環が大切。また建設業は、スーパーゼネコンから地域で仕事をしている会社もある。スーパーゼネコンだけでなく、地場の中堅・中小にしっかりした仕事をやってもらうことが大事。災害対応の問題もあるし、地域に精通している会社に仕事をやっていただけることは、発注者としても安心できる」と語っている。

 このほか建設業界とのコミュニケーションの重要性を話し、「信頼関係をつくっていくことが大事だと思っている。業界の皆さんの声にきちんと耳を傾けることが大切。本省だけでなく整備局、事務所でも、フェイストゥフェイスでやることが大事。また昨年度、発注者協議会をブロック単位で立ち上げた。これは意味が大きいと思っている。国の機関だけでなく県、市町村にも呼び掛けている。総合評価にしても温度差があるが、情報共有して、協議会を活用していきたい」と述べた。

 さらに「建設生産システムの効率化、新技術の活用も柱。NETISの使い勝手を良くするとか、ICTの活用、情報化施工、ASPなどを積極的に使い、効率化を図っていくことを考えたい」としている。

 検討を進めている総価契約単価合意方式については、「大規模な工事ではイメージしやすいが、(設計変更の問題と関連して)一般土木Cランク規模の工事では少し違うのではないか。一方だけをターゲットにするのか、両方を意識するのか、内部で議論を始めたところ」と語った。

 ユニットプライス型積算方式に関しては「積算をシンプルに考えていくということからいけば、意味がある方式だと思っている。デメリットなどいろいろなご意見があるというのも聞いているので、そこはよく考えていきたい」と見解を述べた。


【略歴】

 よこやま・はるお 東大大学院(工学研究科)卒。昭和57年建設省。国土交通省河川局海岸室海洋開発官、総合政策局事業総括調整官、関東地方整備局企画部長などを経て、21年7月に大臣官房技術調査課長に就任。52歳。

国土交通省横山晴生技術調査課長000545.JPG

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