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発展した文明は森を遠ざける/「ルイ・ヴィトンの森」が小諸に誕生/坂本龍一氏も協力

2009/09/09 長野建設新聞

 高級ブランド品を扱う「ルイ・ヴィトン ジャパンカンパニー」は7日、坂本龍一氏代表の社団法人「モア・トゥリーズ(もっと木を)」の協力で、小諸市内に「ルイ・ヴィトンの森」をつくるとして基本協定書に調印をした。=写真=調印式には、芹澤勤小諸市長と板倉敏和副知事も出席。自治体や佐久森林組合と協力して森林再生を進めていくとしている。

 浅間山を背景とした浅間山荘下付近一帯(写真)の私有地A104haの森において森林整備を推進していく方針で、3年をめどにカラマツやシラカバの間伐を中心に手掛けていく計画。この8月下旬に着手した。ルイ・ヴィトン ジャパンカンパニーが資本金1000万円を提供する。

 坂本氏は「長野県は森林税を導入するほど、環境に深い関心をもっている。森林を整備することにより、さらに森の恵み、大切さを多くの人に伝えていければ」とその思いを語った。

 また、5代目当主のパトリック・ルイ・ヴィトン氏は「私どものカバンづくりは革が主流ですが、ポプラの木も使います。より良い製品をつくるには、環境づくりが必要」として、「森は人類にとって大切。そして、植物や動物にもかけがえのないもの。しかし、発展した文明は森や環境を遠ざけてしまいます。友人の坂本さんがこのような活動していることに深い共感を覚えています」と述べ、調印の喜びを表した。

 同社は「森の美しさ」をテーマに、森がもたらす「癒し」の効果と自然に着眼して、土地が本来持つパワーを引き出し、森林を回復させるとしている。一般の人も散策をしながら森林浴を楽しめ、休憩する場所なども設ける考えで、間伐材はオリジナルグッズへの加工、販売等を通じて有効活用していく。

 モア・トゥリーズの水谷伸吉事務局長は「3年間の整備の後も定期的に手入れを行い、長いスパンで取り組んでいきたい」と話していた。

 モア・トゥリーズ(東京都)は、2007年に地球温暖化防止を目的に森林再生プロジェクトを設立。国内外を問わずグローバルに活動を展開しており、第1号の森は高知県梼原町でスタートした。以後、北海道やフイリピンなどを実績をあげ、今回の小諸市が5番目の森となる。候補地の選定にあたっては今年5月に現地見学を実施。小諸市、佐久穂町、木曽に絞り込んだなか、東京都とのアクセス面や美しい景色、十分な面積があることから小諸市に決めたとしている。


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