コンクリート2次製品の製造・販売を行う藤林コンクリート工業㈱(柏崎市)は11日、同社柏崎工場にて『Made in 新潟』新技術に登録された同社の特許技術である『L型擁壁のSPL据付施工法』の公開実験を実施した。当日は、国、県、市町村の技術職員や、コンサルタント業者など、およそ80人が見学した。
同社と全国省コンクリート製品協会が主催。
公開実験では、実際に、既存工法とSPL工法によりL型擁壁を同時施工し、時間や労力など施工性や安定性を比較した。
SPL工法は、擁壁を施工する際の「モルタルのコテ塗り」を「流動モルタルの注入」に置き換えることで、モルタル塗りに必要な熟練技術が不要になるとともに「専用ジャッキ」を使用することで、L型擁壁の高さ調節が容易になる施工法。
擁壁を設置する前に、基礎コンクリートを打つところまでは、既存工法と同じだが、SPL工法では、まず、モルタルを敷く代わりに、強化プラスチック製の支承板を擁壁の重心位置に設置し、擁壁を仮置き。支承板が支点となって傾きの調整の調整が僅かな力で可能となる。
その後、専用ジャッキで高さの微調整を行い、あとは、ミルクモルタルを流し込むだけ。
既存施工では、擁壁設置前にモルタルを敷く過程で、高さ・傾きを管理しなければならないが、支承板とジャッキを使用することで、高さ・傾きの管理が容易に行えるほか、クレーンでの吊り上げが一回で済む。
実際の公開施工でも、既存施工では、擁壁の設置に1回、傾きの微調整に1回の計2回、擁壁を吊り上げたのに対し、SPL工法では、擁壁の設置に吊り上げた1回だけだった。
施工時間も、既存工法は22分かかったが、SPL工法では擁壁の据付に6分、モルタル注入までは15分弱と、大幅に短縮された。
今回は、1つ設置しただけだが、擁壁の設置は、複数に及ぶため、その差は歴然。
公開施工を担当した㈱吉原工業の吉原明社長は「当社では、既存工法による宅地へのL型擁壁の設置工事で失敗して以来、20年近くこのSPL工法を採用している。同工法では、流動モルタルを使用することで、擁壁とベースコンクリートが密着し、擁壁の能力を100%活かせる」と同工法に太鼓判を押した。
吉原社長の言葉どおり、公開施工後に行われた滑動に対する安定性の比較実験では、既存工法に対して、倍以上の安定性を発揮した。