アクアライン活用戦略本部(県商工労働部経済政策課)は、「東京湾アクアライン活用戦略-基本方針」を策定した。東京湾アクアラインの通行料金引き下げを活用して、地域づくりに取り組んでいくための基本的な考え方を示したもので、施策の方向として①観光の振興②拠点地域の整備促進③圏央道沿線地域等への企業立地の促進及び地域産業の振興④アクアライン関連道路網の整備促進、を掲げている。
通行料金の引き下げにより東京湾アクアラインの利用が増大し、交流人口の増加や立地優位性の向上などが期待されていることから、これらの効果を最大限に活用して、市町村や関係団体などと連携し、圏央道の整備状況を見据えながら、観光の振興、かずさアカデミアパーク等の整備、企業立地の促進及び関連道路網の整備に重点的に取り組み、県内経済の活性化や地域の振興を図っていく。
施策の方向では、かずさアカデミアパークの立地環境の整備を図るとともに、金田地区において土地区画整理事業の推進を図る。また、企業誘致に戦略的に取り組むとともに、企業の立地環境の整備などを進める。さらに、圏央道、館山道などの整備を促進するとともに、これらを補完する地域高規格道路や国道・県道などの整備を進め、渋滞個所の緩和など観光エリアへのアクセスを強化する。
具体的な事業については、今後、総合計画等と整合を図りながら「行動計画」を策定する。観光地におけるトイレや駐車場、道路整備など早期に取り組む必要があるものについては、9月補正予算案に計上し迅速に対応していく。
以下、基本方針における施策の方向は次の通り。
【観光の振興】
▽観光プロモーションの強化=地域特性を活かした魅力ある観光資源づくりを進めるとともに、アクアラインの通行料金引き下げや千葉県の魅力を広くプロモーションすることにより、観光客の増加を図る。
▽観光インフラの整備=観光客の満足度を高めて再訪を促すため、道路やトイレ、駐車場、観光案内標識などの観光インフラを早急に整備し、誰もが快適かつ安心して旅を楽しめる観光地づくりを推進する。
▽年間を通じた滞在・宿泊型観光の推進=平日を含め、年間を通して安定した来客を実現し、地域経済への波及効果を確実にするため、地域特性を活かした観光客の広域的な周遊や宿泊、長期滞在の促進を図るとともに、通年型レジャーの普及や多様な観光メニューの提供などに取り組み、さらに二地域居住や移住・定住の促進を図る。
▽観光を支える人づくり=観光従事者の接遇技術の向上を図るとともに、観光客をおもてなしの心で迎えるホスピタリティの醸成に取り組む。また、観光地づくりや地域の観光振興を担う質の高い観光従事者などの人材育成に取り組む。
▽都市農山漁村交流拠点の強化=地域の魅力の発信や地場産品の販路拡大などに交流拠点として貢献している直売所等の活動強化や機能の充実を図るとともに、農林水産業体験や里山体験などのメニューを提供することにより、都市住民と地域住民との交流を促進する。
【拠点地域の整備促進】
▽かずさアカデミアパークへの企業誘致の強化=時間距離の短縮は、かずさアカデミアパークの企業立地の優位性を高めることから、次世代を担う高い技術開発力を持つ企業の集積を目指し立地環境を整備するとともに、より一層の企業誘致に取り組む。
▽かずさアークの交流機能の充実=かずさアークの集客力を向上させ、君津地域の交流拠点への転換を目指すとともに、かずさアカデミアパークと県内企業などとの交流を促進する。
▽金田地区土地区画整理事業の推進=金田地区において、アクアラインを活用した千葉県の玄関口として、交通利便性の極めて高い立地条件を活かし、多様な都市機能が集積した良好な市街地形成のため、土地区画整理事業の推進を図る。
▽金田地区の施設立地の促進=地元木更津市や民間関係団体などと連携して、金田地区の施設立地の促進や誘導に取り組む。
▽金田地区の都市基盤の整備=金田地区内外を連絡する主要な幹線道路である都市計画道路中野畑沢線の早期供用を目指し整備を進める。
【圏央道沿線地域等への企業立地の促進と地域産業の振興】
▽戦略的企業誘致の推進=アクアラインの通行料金の引き下げと圏央道の整備により、都心や京浜地域、成田空港、羽田空港との交通アクセスがさらに向上し、企業立地の優位性が高まると期待されることから、国内外企業の戦略的な誘致に取り組む。
▽工業用地の確保=懸念される工業用地不足に対応するため、新たな手法による公的な工業団地の整備について検討する。また、民間による工業団地の整備を支援するほか、工場用地の拡張や新規立地に関する規制の見直しなどについて検討する。
▽企業の立地環境の整備=本県の立地優位性をより一層高めるため、低廉な工業用水の確保、幹線道路網などのインフラ整備及び人材確保の支援など、企業のニーズに即した立地環境の整備を進める。
▽地域資源を活用した地域産業の振興=都心や京浜地域との近接性を活かし、地域資源などを活用した新たな商品の開発や販路開拓、県内事業者と対岸地域の事業者などとの取引機会の創出・拡大などを図る。
【アクアライン関連道路網の整備推進】
▽交流を支える道づくり=アクアライン着岸地である金田地区や成田空港などのポテンシャルを高めるとともに、地域の交流と連携の強化や、物流の効率化を図るため、県土の道路網の骨格をなす圏央道、東関東自動車道館山線(以下「館山道」)などの整備を促進する。また、これらの高速道路を補完する地域高規格道路や国道・県道などの整備を進める。
▽観光エリアの交通円滑化の推進=アクアラインから高規格幹線道路(圏央道・館山道・千葉東金道路)を経由し、主要な観光地を結ぶ幹線道路において、バスなどの大型車のすれ違いが困難な個所や見通しが悪く走行しづらい個所、さらに交通の集中による渋滞頻発個所などの優先整備により、観光エリアへのアクセスを強化する。効果的な渋滞情報の提供などにより交通の分散化を図るとともに、道の駅などを活用したソフト面の対応も検討する。