水戸市の大工町1丁目地区第一種市街地開発事業で事業主体の再開発組合(西野一郎理事長)は、事業計画を一部見直した。見直し計画によると、事業の進め方について、施設(再開発ビル)の実施設計や施工を行う建設業者を「特定業務代行者」Wとして公募し、保留床の処分も代行者が最終責任を負う方式を採用する。今月から公募要領などの準備を進め、来年1月から公募を開始し、4月には代行者を決定したい方針。一方、建物については敷地面積や建築面積は変わらないが、延べ床面積は約5万6600㎡から業務施設や駐車場など7800㎡縮小し約4万8800㎡とする。工事費も約100億円まで圧縮する。再開発事業はこれまで工事入札が不調に終わっており、経済情勢などを踏まえた新たな事業計画を定め、実現へ動き出すことになった。
大工町1丁目地区の再開発事業は、中心市街地の活性化を目指し、大工町1丁目と天王町の約1万5000㎡を対象に計画。事業敷地面積は9633㎡で、住宅棟(23階建て)やホテル棟(9階)、業務棟、駐車場棟で構成する再開発ビルを建設する。当初の総事業費は約130億円。
事業主体の再開発組合では、経済情勢などに合わせて計画の見直しを行い、平成19年度に2回、工事入札を行ったが、組合側と施工者側の価格に開きが生じ、不調および中止に終わっている。
そのため組合では、資材価格の高騰など経済情勢の変化を踏まえつつ、施設の仕様や意匠など費用の圧縮を図りながら投資と収支のバランスのとれた事業となるよう、計画の見直し作業を実施。出店者やデベロッパーなどへのヒアリング、市との協議などを進めて計画をまとめ、組合総会で決定。市議会にも報告した。
見直し計画によると、建築面積約6600㎡は変えず、延べ床面積を約4万8800㎡に縮小。用途は有料老人ホームを外したほかは変更せず、業務施設や商業施設、駐車場などを縮小した。工事費についても約100億円に圧縮する。
事業の実施に向けては、「特定業務代行方式」を採用。施設の実施設計や施工、保留床処分の業務を代行者に委託する方針で、民間事業者を公募する。応募者の要件は、技術力や資金力、実績などについて基準を設定し、要件を満たす企業や企業グループから提案を募り、競技方式で選定する。
今後のスケジュールは、今月から代行者公募要綱などの準備を開始。組合理事会などでの議論を経て来年1月に公募を開始。募集説明会や提案締め切りなどを経て、来年4月には事業者を決定したい方針。その後、速やかに実施設計に着手し、施工の詳細スケジュールを決めていく。
W 特定業務代行方式 市街地再開発事業を円滑に進めるため国が推進している制度。施行者からの委託に基づき、事業の相当部分を民間事業者が代行する。この方式では、すべての保留床について、第三者に処分できなかった場合に特定業務代行者が最終処分責任を負うことになる。
【表=再開発事業の施設変更案】