馬頭町が建設を計画している『広重美術館』(仮称)の基本設計がこのほど固まった。江戸時代に活躍した浮世絵師・安藤広重の肉筆画を収蔵・展示する施設とあって、全体的に純和風を醸し出すデザインにまとまった。
設計は今年四月にプロポーザルを実施。(株)隈研吾建築都市設計事務所(東京都港区南青山二-五-五)が入選し、担当した。本体の発注方式については、設備を一括し、指名競争を適用する線が濃厚。来月中旬に指名、十二月中旬に入札する予定。十二年三月ごろの完成、秋ごろのオープンを目指す。総事業費は約十二億円。
基本設計で示された美術館の構造と規模は、S造平屋建て約二、〇〇〇㎡。屋根と外壁面には、地元の特産品である八溝材をふんだんに使用。ルーバー(よろい窓)と呼ばれる手法を用いて、木板を一二cmピッチで格子状に張り付け重厚さを創出。加えて、建物周囲には石畳を敷いたり、竹・ササなどを植栽して周辺環境との調和を図る。
周辺整備では、美術館北側(町郷土資料館東側)の約二、〇〇〇㎡を日本庭園に整備するほか、南側(町商工会館東側)の約五、八〇〇㎡を県が取得。敷地南側を通る主要地方道矢板馬頭線を利用するドライバーの休憩施設及び、美術館利用者の駐車施設機能を兼ね備えたポケットパーキングを美術館オープンに合わせて整備する。
また、美術館建設に先立つ敷地造成工事(約五、〇〇〇㎡)の入札を来月上旬にも実施する方向で作業を進めている。
今年二月に策定された基本構想では、同美術館に①展示②収蔵・保管③管理④研究⑤エントランスホール⑥研修⑦交流⑧アメニティ・修景⑨補完-の機能を持たせ、広域的文化施設としての専門美術館を目指すとした。
内部には、作品を展示する展示室を中央部に二つ(計四〇〇㎡)設けるほか、AVコーナーを備えた視聴覚・研修室、収蔵庫、展示準備室、事務室、会議室、レストラン、ミュージアムショップなどを配する。
同美術館の建設は昨年二月、日本画収集家から安藤広重の肉筆画九十四点、版画三百七十点など計四千二百点に上る古美術品の寄贈を、美術館建設を条件に受けたことから計画された。
建設地は町役場本庁舎から矢板馬頭線を挟んで北側に当たる、町役場第二庁舎跡地約一・二km。第二庁舎に入っていた建設課などは、本庁舎を増築して既に引っ越しを終えている。