環境省がまとめた平成11年から15年までの5年間で確認された硫酸ピッチの不法投棄や不適正保管の状況によると、処分件数と処分量は増加傾向にある。同省が全国の都道府県、保健所設置市に対して行った調査では、不適正処分の件数は12年度以前が14件、13年度38件、14年度35件、15年4~9月で27件とあまり変わっていないが、不適正処分量をみると、12年度以前がドラム缶換算本数で約3000本なのに対し、13年度約は5500本、14年度は約1万4600本、15年度は10月1日までの半年間で約1万2205本と急増していることがわかった。
硫酸ピッチは灯油と重油を混ぜて不正に軽油を製造する際に副産物と生じる有害物質で、不法投棄が後を絶たない。健康被害のほか大気・水質・土壌を汚染する可能性がある。
全国での硫酸ピッチの不適正処分に係る現況(平成15年10月1日現在、ドラム缶換算本)は、事案発見数は114件で不適正処分量は3万5363本。うち63件で現状回復し1万1031本分を処理した。未解決事案は全国17自治体で51件、2万2581本ある。
群馬県における硫酸ピッチの不適正処分に係る現況(平成15年10月1日現在)は、事案発見数は5件で不適正処分量は370本。うち3件で現状回復し130本分を処理した。
群馬県ではこれに関連して、不正軽油の撲滅対策も例年実施。15年度は、北橘村や新町、尾島町の国道17号でディーゼル車両を対象にした軽油の路上抜き取り調査を実施した。県職員は、県警の協力を得ながら車両を次々と誘導し、ドライバーに協力を求めて給湯先や給油量を聞きながら軽油を採取し、その販売ルートや製造元を調査している。
県では、引き続き県民から寄せられた情報を基に追跡調査を行い、その結果に基づいて課税処分を行うなど、不法投棄や不正軽油などの悪質な行為を厳しく取り締まる方針。
同省がまとめた硫酸ピッチ不法投棄や不適正保管の状況は以下の通り。
【不適正処分の件数及び不適正処分の量】
▽不適正処分の件数=12年度以前は14件、13年度38件、14年度35件、15年度27件(10月1日まで)となっている。
▽不適正処分量=12年度以前はドラム缶換算本数で約3000本であったものが、13年度約5500本、14年度約1万4600本と推移しており、急増している。なお、15年度は10月1日までの半年間で約1万2205本となっている。
【不適正処分の形態】
▽不適正処分の件数=不法投棄が約55%、不適正保管が約40%。
▽不適正処分量=不適正保管が約54%、不法投棄が約33%。
【不適正処分実行者】
▽不適正処分の件数=排出事業者や搬入者等の複数が係わった事案が約39%と一番多く、次いで原因者不明が25%、搬入者が行った案件が約13%の順。
▽不適正処分量=排出事業者や搬入者等の複数が係わった本数が約34%と一番多く、次いで保管者が行った量が約21%、搬入者が約19%の順。
【原状回復の実施状況】
▽不適正処分の件数=原状回復実施済み及び一部実施が全体の約60%を占め、未実施は約40%。
▽不適正処分量=件数とは逆に、原状回復未実施が全体の約64%で、原状回復実施済みは約36%。
【原状回復の実行者】
▽不適正処分の件数=自治体の行政代執行で行ったものが全体の約38%、排出事業者・保管者等の複数が行ったものが約28%、道路管理者である県・市・町等がその事業の一環として行ったものが13%となっている。
▽不適正処分量=行政代執行でしたものが全体の約36%、搬入者自らが行ったものが約32%。