霞ヶ浦や北浦を水源とする浄水場の浄水処理手法を改善させるべく、県企業局は民間企業6グループ(前澤工業㈱、オルガノ㈱、扶桑建設工業㈱、工営㈱・㈲ユニテク・ウイーグル㈱、メタウォーター㈱、NPO法人ポリシリカ鉄協会)と共同研究に着手した。県が住民ニーズや法制などを担当し、6グループは実装技術のノウハウや類似研究実績からの経験を活かす。試験装置の設計・設置や委員会を進めており、22年度は試験研究、23年度以降は実証試験施設設置の検討を行う方針だ。
霞ヶ浦を水源とする浄水場(霞ヶ浦、阿見、関城、新治)では、近年、秋から春先にかけて霞ヶ浦での藻類大量発生のため、浄水処理が困難な時期が発生している。
特に、平成19年12月からの藻類(オシラトリア)の大量発生に起因する凝集障害やろ過障害、臭気の発生時には、水質基準を満たすために大変な労力を要したという。
今後、水質基準の規制強化に対応するためには、現有施設水処理手法の見直しが急務(塩素酸、臭素酸、アルミニウム、カビ臭など)。
そのため、共同研究で民間企業の持つ最先端水処理技術と企業局の維持管理ノウハウを組み合わせ、最適な処理方式を確立し、安全で安心できるおいしい水を安定供給できる体制を整備するもの。
共同研究の具体的なねらいとしては、原水中の藻類を効果的に除去する水処理手法を確立させるほか、溶解性有機物質を効率的に除去する水処理手法を確立させる。
企業局は、ことし6~7月の公募で選ばれた6グループと共同研究契約を締結し、浄水処理手法の改善調査検討委員会(委員長・古米弘明東京大学大学院工学系研究科教授、7回開催予定)を通じて共同研究し、実装に向けた更なる検証と施設建設(実装化)、学会などへの発表を行う計画。
企業局は住民ニーズや法制への対応、経営・維持管理などからの評価と検証を担当し、民間6グループは実装技術のノウハウや類似研究実績からの経験を活用する。
共同研究の主な概要として、企業局は試験フィールドと試料・ユーティリティを提供し、また共同研究者に最大100万円を助成。一方で民間事業者は試験研究装置の制作、設置、測定に要する人件費などを負担する。
ことし8月には第1回委員会が開かれ、6グループは計画書を説明した。今後、12月中下旬に第2回、翌年3月下旬に第3回、四半期ごとに第4~6回を開催し、平成23年3月に第7回で最終報告する考え。
6グループは、すでに試験研究装置の設計や設置に着手し、試験研究に向けて準備。この試験研究は22年度まで行われ、この後に委員会から引き続き実証が必要と認められた水処理技術(手法)について、23年度以降に実証試験施設の設置に係る検討が行われる。
【図=共同研究場所とスケジュール】