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7割が原価割れ工事抱える/平均経常利益額は24%減/建設業構造基本調査

2009/12/03 本社配信

 国土交通省は2日、建設業構造基本調査の結果を公表した。昭和50年度から3年に一度行っているもので、産業政策展開の基礎資料としている。調査基準日は平成20年3月31日で、集計対象は1万1889社。

 調査結果をみていくと、総工事件数に占める原価割れ工事件数の比率では、全体の68・5%の企業が原価割れ工事を抱えている。前回と比較して4・6%の増加。建設市場整備課では「競争激化、ダンピング受注、資材価格高騰が影響しているのではないか」とみている。

 このほか、1社あたりの平均経常利益額は790万円で、前回と比較して24・0%減少した。業種別では「設備」(プラス62・9%)が大幅に増加した一方で、「一般土木建築」(マイナス66・0%)や「土木」(マイナス55・7%)が大幅に減少している。

 経常損失を抱える会社数は全体の19・7%で、前回と比較して3・8%増加している。

 営業地域は「1つの都道府県内」の企業が73・6%と最も多く、「2~3の都道府県内」の企業割合と合わせると、9割以上の企業が1~3の都道府県内で営業活動を行っている結果となった。

 下請工事を受注している企業数は全体の82・5%で、前回比2・3%増加。このうち、50%以上が下請工事の企業割合は51・9%で、同5・0%増加した。

 公共工事受注比率は全体で25・8%となっており、前回と比較して5・6%減少している。

 資金調達方法は「地方銀行」からが43・8%と最も多く、次いで「信用金庫、信用組合」が24・9%、「政府系金融機関」が10・7%となっている。

 経営上の課題は「利益率の低下」(88・9%)、「民間需要の減少」(79・5%)、「コストダウン要請の高まり」(67・6%)、「官公需要の減少」(62・2%)が高い割合を占めた。

 そして実施している事業戦略上の対策は「高コスト体質からの脱却」(54・2%)、「組織の活性化(従業員のモラール向上など)」(51・0%)、「取引先の選別」(45・0%)が高い割合となった。

 今後の経営方針で「新事業分野への参入による事業規模の拡大」を選んだ企業は7・5%。進出の意向が高い分野は「リフォーム・リニューアル」(39・5%)、「環境」(33・9%)という結果だった。

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