古町などの中心市街地活性化を目指す新潟市まちなか再生本部会議は24日、だいしホール(中央区)で「まちなか再生フォーラム」を開催。世界を舞台に都市再生を手がける建築家・隈研吾氏の講演に約270人が耳を傾けた。
講演テーマは「都心再生の姿~担うべき役割と機能~」。続くパネルディスカッションは本部長の篠田昭市長をはじめ、再生会議メンバー5人が参加。コーディネーターは新潟市都市政策研究所の望月迪洋氏が務めた。
隈氏は、伝統の再発見、都市の中の自然、ソフトの三つをキーワードに掲げた。イギリスのチェスターやスペインのビルバオなど、世界各国の水辺開発や芸術祭などの再生実例を示し「都市は超高層に代表される20世紀アメリカ型から、個性を磨くヨーロッパ型へ転換している。新潟市だけでなく世界中で同じ問題が浮上している。これからは独自性を打ち出したところが生き残る」とした。
また「実際歩いてみたが、上古町などコンセプトのしっかりした新しい店もあり、可能性を感じた。新潟は空が広く、低層のまちの魅力がある。本来街づくりは色々な人と仲間になれるし、行政も一緒になってできる楽しいこと。諦めないことが大切だ」と述べた。
質疑応答では、会場に若者の姿がほとんど見られないとの指摘もあった。これを受けて隈氏は「不思議なことに、若い人こそ古いものやその再生に興味を持つ。これは各国共通」としたうえで、「若者を巻き込むには商売とアートという二つのインターフェイスがある。EUでは毎年文化都市を決め芸術祭などで応援するキャピタル・オブ・カルチャーなどの仕組みがあり、可能性を広げている」と紹介した。
100円バス始動
篠田市長が実験明言
またディスカッションの中で篠田市長は「現年度と新年度で予算付けをし、行政からアクションをおこしたい」とし、再生本部会議で検討を重ねてきたワンコインバスの社会実験に踏み切る意向を示した。新潟市美術館の企画展にあわせるなど、周辺の文化スポット回遊の誘引策としたい考えだ。
【写真=とるべきアクションを模索した(24日、だいしホール)】