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群馬県中部農業事務所農村整備課

富入沢ダムの規模縮小/当初事業費10%削減へ/新年度から本体着工

2004/01/29 群馬建設新聞

 県中部農業総合事務所農村整備部は、富入沢地区で事業展開している県営防災ダム事業の当初計画について見直しを行った結果、ダム本体の堤高や貯水容量などの規模を縮小することを明らかにした。この見直しは、コスト縮減等を図るためのもので14年度から検討を行っていた。ダム本体の規模をどれだけ縮小するか等については、今後の実施設計において決めていくとしているが、総事業費では当初試算していた38億8000万円余りから約10%削減し、35億円程度にまで抑える方針。今回の見直しに伴う実施設計委託は、2月4日に7社で入札を行い選定する。新年度は、7月頃に開催予定の16年度1回目となる公共事業再評価委員会へ諮問し、了承を待って本体工への一部着手を目指している。

 富入沢ダムは、前橋市街地の北方約10km、赤城山南西斜面の富士見村石井、赤城山地内に計画。

 下流域の1級河川細ケ沢川、普通河川富入沢川は洪水時の流下能力が低く豪雨時は各所で氾濫し農地、農業施設に甚大な被害を及ぼしている。

 この改善策として、農業用の洪水調節を目的に計画、2年度から調査に着手していた。

 その後、ダム本体をはじめとする設計等を進め、用地もすべて取得し、工事についても仮排水路や取付道路工等にも着手し、仮排水路トンネルは完成済みで、取付道も一部が完成。現時点の工事進捗は約21%。しかし、計画後、年数が経過し下流では河川改修等が進み、計画当初に比べて河川の洪水調整能力がアップしたこと等によって14年度から計画の見直しを行い、工事も今年度までの2か年、休止していた。

 再検討の結果、従来のダム計画と河川整備代替案とを比較した場合、事業コストが均衡すること等からダムコストを抑制するため当初計画を縮小。この変更決定に伴って、今回実施設計を委託するもので、具体的な規模等については同業務で決めていく。ただ、調整能力は洪水調整力を確保するため大幅に減少することは厳しいと見ており、逆に堆砂量等は減少できるとの見方を示し、堤体形式等を含めて変更する場合もあるとしている。未着工の取付道路も集落への連絡道となる区間は、現在の道路幅員(5m)を確保する意向だが、管理用道路となる奥側の区間は狭小することも考えている。

 なお、基本設計は日本技研(愛知県名古屋市中区千代田2-16-10電話052-261-1321)が作成し、その時のダム諸元は、貯水池が総貯水量19万2000立方m、有効貯水量12万9000立方m、堆砂量6万3000立方m、洪水吐は形式を自然越流式側水路型、設計洪水位370・4m、越流水深1m、越流堰長53m、減勢工が強制跳水型、堤体は、形式が傾斜遮水ゾーン型フィルダムの堤高18・4m、堤頂長185m、堤頂幅8m、堤体積21万立方m、洪水調節は、斜樋式(非調節型)、最大放流量8・4立方m/s、放流工標高365・4m、調節工φ1600mm(1門)--等としていた。



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