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国土交通省

3月1日にスタート/ゼネコンとの連鎖倒産防止/下請債権保全支援事業

2010/02/10 本社配信

 国土交通省は平成21年度2次補正予算が成立したことを受けて、下請債権保全支援事業を3月1日からスタートすることに決めた。現行の下請資金繰り支援事業と同様に、建設業振興基金とファクタリング(債権買取)会社を活用するスキームを固め、9日に同基金へ実施を通知した。都道府県と政令市、建設業団体にも参考送付している。建設投資、とりわけ公共事業の激減などで元請ゼネコン倒産の懸念が高まる中、同事業により下請や資材業者の連鎖倒産防止を図る。





 事業期間は3月1日から平成23年3月31日まで。事業費は今年度2次補正予算47億円、22年度予算案8億円の、計55億円としている。

 事業のポイントは建設業振興基金からファクタリング会社への損失補償と、下請がファクタリング会社へ支払う保証料に関する負担助成の二点だ。55億円の内訳は、損失補償が46億円と、保証料負担助成が9億円。

 下請や資材業者が元請ゼネコンに対して有する請負工事・資材代金の債権(手形を含む)の支払いをファクタリング会社が保証することで、下請債権を保全する仕組み。

 下請が負担する保証料に対して国が助成。助成は保証料の3分の2で、年率4%を上限とする。

 一方の建設業振興基金からファクタリング会社への緊急リスク軽減は、債権の回収困難時に損失補償する。補償は損失の95%とした。

 この事業を利用する下請は、受益者負担として年率1%の利用料を支払うことになる。

 保証対象の債権の要件は、公共・民間の建設工事にかかわる請負工事または資材代金の債権(手形を含む)。

 債権は、下請からの支払請求段階から保証可能とする。ただし月末(締日)などに下請が請求書を出した後、元請が支払通知を出すことなどで支払額を認めるまでの間は、請求額の8割を保証額上限とする。

 債権者は一次下請に限らず、二次や三次などの下請も対象となる。

 債務者(元請)の要件は▽当該年度または前年度の公共工事受注実績があること▽破産手続きの申し立てがないこと―など。

 例えば一次下請と二次下請との間の契約では、当該一次下請を元請企業とみる。

 ファクタリング会社は2月中に公募、選定する。現行の下請資金繰り支援事業で認定されている7社が参画する可能性も高いとみられる。

 このほか保証限度額などの考え方も下請資金繰り支援事業に準じている。ただ、下請当たりの保証限度額上限は、規模に応じ、3億円または6億円とした。下限額は保証1回あたり100万円を下回らない範囲で、ファクタリング会社が設定する。

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