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茨城県水戸土地改良事務所

新年度は裏池等着工/「美野里」環境整備

2004/01/31 日本工業経済新聞(茨城版)

 県水戸土地改良事務所は、平成9年度から農村環境整備を一体的に行っている地域環境整備事業「美野里地区」で、平成16年度事業について、地元との調整を図りながら<1>裏池整備<2>花野井2号農道改良工事<3>花野井5号集落道舗装工事などの整備を検討している。事業期間は平成20年度までで、総事業費は約30億円。事業進捗率は平成15年度末で約45%となる見込み。

 同事業は、自然環境や農村景観等の保全に配慮した農村地域の整備を行い、快適で豊かな地域環境を形成し、農村の活性化を図ることを目的に実施されている。

 美野里地区は、本県第1号の事業採択地区として、平成9年度から事業に着手。事業区域は美野里町全域が対象で事業期間は平成20年度まで、総事業費は約30億円としている。

 整備の基本方針には<1>残された自然環境の保全と失われた環境の復元<2>地域資源としての文化財や景観の保全・復元<3>野外観察・教育の場としての活用-を掲げ、◆水辺空間整備◆緑地空間整備◆環境整備◆特認の4項目を柱に整備を進めている。

 具体的には、水辺空間整備では農業排水路5路線・延長7140mと水辺環境(ため池)7箇所、緑地空間整備では農道13路線・延長8990mと集落道2路線・延長1450m、緑地施設3箇所、環境整備では農村公園2箇所、また特認では農村・自然体験館1箇所を整備していく計画だ。

 平成15年度末までに農道の竹原2号・3号の2路線とため池の大谷池、上池の整備が完了する予定で、事業の進捗率は約45%を見込む。

 新年度の事業については、現在、地元からの要望の多い<1>裏池(A1万8000㎡)整備と<2>花野井2号農道(L1550m)の改良工事、<3>今年度改良工事を行った花野井5号集落道(L750m)の舗装工事、<4>今年度整備工事を行った遠州池(A2万9000㎡)の一部残工事などを検討している。今後、町や地元関係者と調整を図りながら事業を継続していく意向だ。

 なお、事業内容の各整備目標は次の通り。

【農業排水施設整備】

◆同事業では、排水路の法面浸食防止、通水能力確保等を目的として、護岸の整備を主体に5路線、7140mの整備を行うとともに、整備にあたっては魚類(メダカ、タナゴ類等)や水中昆虫(ホタル、トンボ)や爬虫類等の生息に配慮した素材(自然石、木材)を用い、所々に深場や観察スポットを設けた水路形態として、自然環境の保全・創出を図る。

【水辺環境整備】

◆町域に分布するため池群のうち、抽出植物帯の形成等により生物の生息空間として良好な環境を有している大正地池、大谷池、上池、池花池、裏池、薄広池、遠州池の7つの池について、自然材料を用いた護岸の多孔質化や、植物群落の保全、自然観察スポットの整備等を自然環境の保全・創出を図り、町域における水と環境のネットワークの拠点として位置づける。

【農道整備】

◆同事業では未整備農道のうち、サイクリング等の広域レクリエーションネットワークとしての活用等も期待される路線を含め、南部地区を中心に13路線、延長8990mの舗装や拡幅等の整備を行っている。同時に減少傾向にある草地性昆虫や植園地帯の鳥類等の生息環境に配慮した整備として自然石による土留壁、沿道空間の緑地化等を図り、自然生態系の保全に資する。

【農業集落道整備】

◆集落及び周辺の狭小で未整備な路線のうち、生活上や生産上または、広域レクリエーションネットワーク形成に活用が期待される2路線1450mについて優先的に拡幅舗装等の整備を行い、併せて沿道の緑地等により集落の景観と自然環境を確保し、農村集落としての豊かな環境を形成する。

【農村公園緑地整備】

◆同事業では、町の史跡として著名で、田園景観の中のランドマーク的存在の竹原城趾及び、町域最大の前方後円墳である羽黒古墳に、交流広場や散策路等を含めた農村公園の整備を図り、広域レクリエーションネットワークの拠点としての機能を持つ、豊かで快適な農村景観の中で憩える場を提供するとともに、文化財の保全に寄与する。



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