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茨城県常北町

行政等3拠点を設定/新町建設計画案前編を公表

2004/02/14 日本工業経済新聞(茨城版)

 常北町・桂村・七会村合併協議会は、合併後の新しいまちづくりの計画となる「新町建設計画」(案)のうち前編をまとめた。前編は、計画策定の方針、新町の概況関連計画における位置づけ、地域特性と課題、主要指標の見通し、新町建設の基本方針(新町の将来像、新町の基本目標、地域別整備方針)などで構成。新町建設の基本方針をみると、3つの「拠点」として<1>行政拠点<2>ふれあい健康拠点<3>自然体験拠点-を設定し、行政拠点では、新町の本庁舎と2つの支所を拠点に、公共施設の集積環境を図り多様な機会に住民が参画できる環境を整備する、としている。

  また、住民アンケートによる望まれるまちの将来像については「道路・上下水道・市街地等が整備され、生活基盤が充実したまち」が41・0%と最も高く、「安全で安心して暮らせるまち」「子育て世代や高齢者、障害者等すべての人が安心して暮らせるまち」「工業・商業・サービス業などの産業が活発で、活力のあるまち」が続いている。

 住民は、生活環境や福祉の充実したまちを強く望んでおり、こうした住民ニーズに対応した施策の推進が求められる、としている。

 今後は、建設計画案の後編を策定し、今年5月下旬ごろを目標にしている合併調印までに計画全体をまとめる方針。

 建設計画案(前編)の概要は次のとおり。

 計画策定の方針

【計画の趣旨】

 この計画は、常北町、桂村、七会村の新町を建設していくための基本となる建設計画として策定するものであり、その計画の実現を図ることにより、1町2村の速やかな一体化を推進し、新町の均衡ある発展と住民の福祉の向上等を図ろうとするもの。また、新町の総合計画が策定される際、この建設計画の内容が反映される。

【計画の対象地域】

 計画の趣旨から、常北町、桂村、七会村の全地域を本計画の地域として定める。

【計画の期間】

 平成17年度から平成26年度までの10か年度とする。

 新町の概況

【位置と地勢】

 新町は、茨城県の西北部に位置し、南は水戸市、笠間市に接し、東は那珂町、大宮町と那珂川で境している。北は御前山村に、西は栃木県茂木町に接している。

 新町域の総面積は161・73k㎡で、60・6%を森林が占めている。東部は那珂川沿岸に開けた沖積平野地帯で、農地や宅地、工業用地などに利用され、国道123号沿線を中心に、多くの住民が居住している。中西部は、八溝山系の南縁部の標高200m前後の丘陵地帯となっており、藤井川をはじめとする那珂川支流の多くの河川が起伏の激しい地形を作り出し、山林や農地、レクリエーション施設などに利用され、自然や歴史を感じる地域となっている。

 美しい自然が残る静かな地域である一方、県都水戸市に隣接する恵まれた立地にある発展可能性の高い町である。

【交通アクセス】

 新町の周辺にはJR常磐線や常磐自動車道、北関東自動車道、常陸那珂港、大洗港があり、百里飛行場の民間共用化が実現することによって陸海空の交通ネットワークが形成される。

 また、水戸市から宇都宮市に至る国道123号が新町の東部を南北に縦断するほか、主要地方道水戸茂木線、主要地方道日立笠間線、主要地方道笠間緒川線、主要地方道石岡常北線、一般県道阿波山徳蔵線、一般県道錫高野石塚線、一般県道鶏足山線、一般県道鶏足山片庭線、一般県道真端水戸線、一般県道赤沢茂木線が縦横に走っている。

 これらの幹線道路は、山がちな地形から、狭隘な区間もあり、整備が求められている。また、常磐自動車道水戸ICから20分程の時間距離にあり、町内各地域から東京都心へ2時間弱で着くことができる。

 公共交通は、民間バスが町内各地域とJR水戸駅を結んでいるが、便数が少なく、不便を強いられている。

【人口・世帯】

 国勢調査によると、平成12年の1町2村の人口は2万3007人で、昭和55年の2万461人に比べ1割以上増加している。平成12年の世帯数は6833世帯、1世帯あたりの人口は3・37人で、年々核家族化が進行していることがうかがえる。

 主要指標の見通し

【人口】

 コーホート法により将来の人口を推計すると、新町の人口は、平成22年に約2万4700人、平成27年に約2万5500人になる見通しである。少子・高齢化の傾向は加速し、平成27年には高齢化率が約28%、年少人口比率が13・5%になると推計される。

【世帯数】

 核家族化の傾向を加味しながら新町の世帯数を推計すると、平成27年に約8700世帯となる見通しである。

 新町建設の基本方針

【新町の将来像】

 新町は、県都水戸市に隣接する立地にありながら、御前山県立自然公園を形成する森林や那珂川をはじめ、その支流となる複数の川など恵まれた自然環境を有している。

 一方で、少子・高齢化が進展し、第1次産業就業者比率が減少傾向にあり地域活力の停滞が懸念されている。

 また、住民アンケートの結果から生活環境の整備、保健・福祉・医療の充実、産業の振興など安心で快適に暮らせるまちづくりへの要望が高くなっている。

 1町2村の総合計画では、「自然」「交流」「共生」「連携」などのキーワードにより将来像を示しており、これらを踏まえ新町の方向性として、将来像を以下のように定める。

 新町では、豊かな自然を保全しながら活用し、地域間交流、都市住民との交流を深めるとともに、新町に住むすべての人が快適な環境のなかで、魅力的で活力あふれる住みよいまちづくりを目指す。

 新町の将来像=人と自然が響きあいともに輝く住みよいまち

【新町の基本目標】

 新町では、1町2村の総合計画の施策の大綱に沿いながら、新町の将来像を実現するため5つの基本目標を設定し、その実現をめざしたまちづくりを進める。

 御前山県立自然公園を形成する森林や那珂川をはじめ、その支流となる複数の川など、恵まれた自然はかけがえのないものである。都市化や地域開発が進み、地球環境が悪化するなか、自然の生態系の循環機能を後世に受け継いでいくことは重要な課題となっている。

 新町では、自然と共生した循環型の地域社会の形成をめざして、恵まれた自然環境の保全と活用を図るとともに、リサイクルの推進や上下水道の整備などを図る。また、交通機関や道路網の整備による交通ネットワークづくり、情報ネットワークづくりなどにより、住民が快適に生活できる環境づくりを進める。さらに、防災・防犯・交通安全対策などを強化し、住民が安全で安心に暮らせるまちづくりを進める。

 少子・高齢化が進むなかで、21世紀を担う子どもたちがすこやかに生まれ育つよう、子育ての社会的な支援が求められるとともに、生涯にわたって住民が健康で安心して暮らし、積極的に社会参加できる地域づくりが求められている。

◆基本目標1…心やすらぐ自然環境のなかで安全で快適に暮らせるまちづくり

◆基本目標2…ともに支えあいすべての人が元気で安心して暮らせるまちづくり

◆基本目標3…豊かな地域資源を活かした魅力と活力にあふれるまちづくり

◆基本目標4…次世代を担う豊かな心の育成と歴史・伝統を大切にするまちづくり

◆基本目標5…住民と行政がともに手をとりあう開かれたまちづくり

地域別整備方針

【土地利用の方向性を示す3つの「ゾーン」】

 <1>市街地・行政機能ゾーン

 市街地・行政機能ゾーンは、新町の本庁舎(常北町役場)を中心に形成される市街地地域で、水戸市に隣接した立地から、住宅や郊外型商業など生活関連機能が集積している。

 このゾーンは、本庁舎を中心とした支所(桂村役場、七会村役場)との連携の中で、行政の中心となる。また下水道等の整備や道路網の整備等生活基盤の整備を図り、計画的な土地利用により適正な市街地を誘導し魅力ある生活環境づくりに努める。

 <2>田園居住ゾーン

 田園居住ゾーンは、新町東部から中央部に広がる那珂川の河岸沿いに発達した農業地帯である。このゾーンは緑地や河川などの身近な自然環境や農村景観の保全に努めるとともに、生活基盤を整備し、居住環境の形成を図りながら快適で暮らしやすいまちづくりを目指す。

 また、畑や水田の田園地帯であることから、農業の振興を図るとともに体験型農業等による他地域との交流の場として積極的な活用に努める。

 <3>自然環境ゾーン

 自然環境ゾーンは、新町西部から北部にかけて広大な広がりをみせる森林空間で、合間に集落が形成されている。このゾーンは、恵まれた自然環境を保全するとともにレクリエーション空間として森林のもつ健康休養機能を活用し住民同士、住民と訪問者が交流するゾーンとして、各種観光施設の充実や、アクセス道路の整備や連携イベントの実施、誘導案内板の充実などによるネットワーク化を図る。

 また、生活利便性や暮らしの安全・安心を確保するため水道網や下水道等の整備など、地域環境の整備に努める。

【地域資源や公共施設の集積ポイントをあらわす3つの「拠点」】

 <1>行政拠点

 新町の本庁舎と2つの支所を行政拠点とし、公共施設の集積を図り多様な機会に住民が参画できる環境を整備する。

 <2>ふれあい健康拠点

 保健福祉センター、国保診療所等の施設をふれあい健康拠点とし、すべての人が健康で安心して暮らせるよう保健・福祉・医療の充実を図りる。

 <3>自然体験拠点

 自然に恵まれた地域にある、ふれあいの里、うぐいすの里、山びこの郷、道の駅かつら周辺を交流拠点として連携を図り、周辺の自然環境を活用した観光レクリエーションの振興を図る。

【地域や資源間を結び交流を図る3つの「軸」】

 <1>都市・交流軸

 国道123号を中心とした水戸市につながる交流軸である。国道沿道には住宅地や郊外型商業などの生活関連機能が形成されており、住民の社会生活を支える基軸となる。

 <2>観光・レクリエーション・交流軸

 県道水戸茂木線を中心とした、都市部と自然環境ゾーンを結ぶ交流軸である。常磐自動車水戸ICから、ツインリンクもてぎに通じる軸の沿線には、ふれあいの里などの観光施設やゴルフ場などがあり、都市住民に自然とのふれあい、やすらぎを与える基軸となる。

 <3>自然体験・交流軸

 県道阿波山徳蔵線を中心とした、笠間地域と大宮地域を結ぶ交流軸である。那珂川の支流や森林など豊かな自然環境の中に散在した地域資源の連携を図り、自然の魅力を体験できる新たな交流の基軸となる。



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