●祝辞
茨城県知事 橋本昌
このたび、広域営農団地農道整備事業笠間地区が竣工の運びとなり、竣工記念式典が挙行されますことを、心からお祝い申し上げます。
本事業は、昭和54年度の事業着手以来、これまでに大桂大橋をはじめとした橋梁構造物やトンネルの整備などを行い、ここにすべての工事が完工し、笠間市石井から大宮町鷹巣までの延長21・3km余を供用開始することとなりました。今日まで事業の推進にご協力、ご尽力いただきました、笠間市長さんをはじめ笠間地区広域農道開設促進協議会並びに関係市町村の皆様に対しまして、心から感謝申し上げるとともに、深く敬意を表します。
ご承知のとおり、農業を取り巻く情勢は、WTO農業交渉の本格化や食の安全・安心に関する問題の顕在化など、大きな転換期を迎えております。その中にあって、農業は、いのちの源であります食料の安定供給をはじめとし、土地や水などをとおして地域資源、自然環境の保全といった多面的機能が評価されております。また、農村は生産と生活の場が一体であるほか、地域文化を育み、やすらぎと潤いの場としての役割が期待されております。
このようななか、広域営農団地農道整備事業が完成の運びとなりましたことは、誠に意義深いものがあります。本県は、首都圏の重要な食料供給基地となっております。本地域においても、農産物の生産、流通、加工等の広域的な農業施設を有機的に結んでいる広域農道を有効に活用し、これまで以上に活力ある農業が展開されるものと期待しております。
県といたしましては、農業を取り巻く環境の変化や時代の要請に対応するため、農業に携わる方々が、21世紀に夢と希望を持って農業に従事することができるよう、本年度を「茨城農業改革元年」として位置付け、消費者のベストパートナーとなる新たな茨城農業を目指して、本県農業の改革を推進しているところです。
今後とも、本県の恵まれた自然や社会・経済環境を生かして地域産業の確立に努め、21世紀が茨城の時代となるよう全力で取り組んでまいりますので皆様方の、なお一層のご理解とご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。
終わりに、竣工を契機といたしまして、当地域が豊かで暮らしやすい活力ある農業地域として、ますます発展されますことを祈念いたしまして、お祝いの言葉といたします。
●ごあいさつ
笠間地区広域農道開設促進協議会
会長 笠間市長 磯良史
笠間市・七会村・桂村・大宮町を結ぶ笠間地区広域農道が全線完成し、このたび竣工の運びとなりました。
多くの皆様方にご協力を賜り、本日を迎えることができますことに対し、心より厚くお礼申しあげます。
さて、当広域農道は、地域産業の発展や振興を図ることを目的に、関係市町村から構成する協議会を組織し、早期実現を図るため昭和51年から促進を図ってまいりました。
この間、28年間を経過しておりますが、皆様のご支援ご協力を賜り、茨城県が事業主体の広域営農団地農道整備事業により、昭和54年の着工以来25年の長期に亘る工事によって初期目的を達成することができました。
この全線開通がもたらす波及効果は経済的にも、また、利便性からも計り知れないものと確信しております。
おわりに、関係市町村の更なる発展をご祈念しますとともに、これまでの事業に携わった多くの皆様方に感謝を申し上げごあいさつといたします。
県が、県央北部の中山間地域を結ぶ広域農道(ビーフライン)として整備を進めてきた広域営農団地農道整備事業・笠間地区がこのほど、全線で完成し、16日、関係者約100人が出席して、記念碑除幕式及び竣工式が笠間市石井地内の現地で執り行われた。
広域農道・笠間地区の整備区間は、全長21・3km。すでに大宮町、桂村、七会村と笠間市の一部区間を含む17・8kmが供用を開始しており、今回、笠間工区の残る3・5kmが開通した。大宮町鷹巣地先から桂村、七会村を経て、笠間市石井地先まで伸びる全線を幅員7m(車道)のアスファルト舗装で整備。このほか、区間内には、桂村・大宮町境で一級河川那珂川に架かる大桂大橋をTL押出し工法で、小野トンネルをナトム工法で整備され、昭和54年度に事業着手して以来、25年の歳月と約125億円の事業費をかけ、全線竣工の運びとなった。
同地域の交通網は、水戸市を中心に放射状に国道118号、国道123号、国道50号が走るが、環状的に農業用地内を横断して結ぶ道路が整備されていなかった。この状況を改善し、農業生産資材の搬入及び農産物の搬出の円滑化を図るために、昭和51年に笠間地区広域農道開設促進協議会を設立し、昭和54年に国の採択を受け、昭和55年度から工事着手した。今回の全線開通により、農産物等の流通の合理化をはじめ、農村の生活基盤の飛躍的な向上が期待されている。
●記念碑碑文
山 河 豊 穣
笠間より大宮に至る本地域は、阿武隈山麓八溝山系の山間丘陵地帯が南北に延び、その先端は筑波山麓に達する。古来より人々は、山間の盆地に、あるいは久慈・那珂川沿いの丘陵地に生活を営んできた。しかし、それぞれの地域を結ぶ交通手段に二川を渡る船に頼るか、険しく曲がりくねった道を牛馬の力を借りて往来するしかなく、人事、物資の交流は思いのほか低調であった。
このような現状を改善向上すべく昭和51年に笠間地区広域農道開設促進協議会を組織し、県営広域営農団地農道整備事業として水戸土地改良事務所、常陸太田土地改良事務所によって昭和五十四年度に着工、以来二十五年の歳月を経て、総事業費、百二十五億円を投じ、全長二十一、三kmに及ぶ広域農道が整備された。
この偉業によって県北西部地域の市町村が短時間で結ばれ、人事交流や物資流通経済が活発になり、よって地域活性化が図られ人々の生活に豊かな実りをもたらすことは、誠に喜ばしいことである。
ここに、本事業の遂行にあたられた関係者全員の功績を讃え、関係諸期間のご支援に深く感謝し、郷土繁栄の礎としての本事業の趣旨を次代に伝えるものである。
平成十六年二月吉日
笠間地区広域農道開設促進協議会
会長 笠間市長 磯 良史
七会村長 阿久津 藤男
桂村長 金長 義郎
大宮町長 矢数 浩
●工事概要
〈広域営農団地農道整備事業・笠間地区〉
・都市計画決定=昭和54年
・事業着手=昭和54年度
・起点=県道宇都宮・笠間線(笠間市箱田地先)
・終点=国道118号(大宮町上大賀地先)
・延長=21・301m
・幅員=7・0m
・事業年度=昭和54年度~平成15年度
・総事業費=約125億8500万円
◆今回開通区間
・延長=3・5km(笠間市石寺地先~同市箱田地先)
・幅員=7・0m
●主要構造物
〈小野トンネル〉
・延長=121m
・幅員=10・5m(片側歩道)
・掘削工法=ナトム工法
・事業費=3億円
・供用開始=平成3年3月
〈水郡線跨線橋〉
・延長=20m
〈大桂大橋〉
・延長=747m(東茨城郡桂村大字阿波山~那珂郡大宮町小野)
・幅員=10・5m(片側歩道)
・架設工法=TL押出し工法
・事業費=21億円
・供用開始=平成3年3月