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国土交通省

家賃係数を見直しへ/公営住宅の値下げ幅が減少

2004/01/18 群馬建設新聞

 国土交通省は、公営住宅の家賃を算出する際に用いる家賃計数の一部改正を検討している。今回の改正により、住宅の経年劣化による家賃の減少幅が縮小することになるとともに、地方自治体の裁量幅が拡大することになる。順調にいけば、17年4月からの家賃算定に導入される見通し。

 家賃の算定は、入居者(及び同居者)の所得に応じて決められる家賃算定基礎額に、市町村立地係数、規模係数、経過年数係数、利便性係数の各係数を乗じて算出する。

 このうち改正されるのは「経過年数係数」のなかの値(K)。経過年数係数は、建設後の経過年数に応じて一定の率を減じていくもので、<1>首都圏の特別区など首都圏整備法に基づく既成市街地と<2>それ以外の都市でK値は分類される。

 改正案によると、<1>では木造で0・0116→0・0051、木造以外で0・0044→0・0010に、<2>では木造で0・0177→0・0087、木造以外で0・0114→0・0039にそれぞれ変更する。

 公営住宅は、建設から時間が経つと家賃が下がる仕組みになっている。近年の民間企業が経営する賃貸住宅の家賃の下げ幅は縮小傾向にあり、今回の改正は民間の実体に沿った形になるとも促えられる。

 もともと公営住宅は、地方公共団体(都道府県、市区町村)が建設する低所得者向けの賃貸住宅。入居者が所得の少ない人に限られていることから、福祉施策の色彩が濃い制度と言える。

 公営住宅の家賃は、入居者の負担能力(所得)を基礎として、これに住宅から受ける利益を考え合わせて決められる(応能応益家賃)。また、家賃は地方公共団体の収入として計上され、住宅供給にかかる費用は地方公共団体が国とともに財政負担する。公営住宅制度は、その供給にかかるすべての費用を家賃によって回収する仕組みとはなっておらず、独立採算的性格は持ち合わせていない。

【合併後の適用に経過措置多い】

近年の市町村合併による新市移行後の公営住宅家賃については、最も大きな規模の自治体の制度に統一するものや、現行家賃に大きな差が生じないよう現行制度を適用し、住民に周知を行い16年10月の公営住宅法に基づく所得調査により、17年4月1日から新制度を適用する自治体も多い。新制度により家賃が増となった入居者に対しては、国土交通省の通達に基づき3か年の経過措置期間を設け段階的に調整する自治体が多い。

 なお、県内で今年12月に合併を控える前橋市と大胡町、宮城村、粕川村の場合は「前橋市以外に公営住宅がないため話し合いがなされていない(前橋広域市町村合併協議会事務局)」ようだ。



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