村井仁県知事=写真=は13日の定例記者会見で、任期満了に伴う8月8日投開票の知事選に出馬しない意向を表明した。村井知事は「初めから1期限りと決めていた。関係者には1カ月ほど前から伝え始めた」と明かし、後継候補の指名については「今の段階で申し上げるつもりはない」と含みを持たせた。
村井知事は「平成18年の知事選に出馬する際、当時疲弊した郷土“長野県”の建て直しが任務と心得えた。1期限りという不退転の決意で臨んだからこそ、目指していたことをある程度達成できた」と述べた。
後継候補に関しては「この人にやっていただければという思いがあるのは当然のこと」とする一方、「県民が賢明な判断をされることが望ましい」とも述べ、具体名は挙げなかった。
村井知事は18年8月の前回知事選で、当時の田中康夫知事への対立候補として、自民党県連と公明党県本部の推薦を受けて無所属で出馬し、初当選した。
建設業界は、田中前知事のもと進められた急激な入札制度改革の見直しや、「脱ダム宣言」で中止された浅川ダム事業の再開、国に先駆けた経済対策補正予算の編成など、村井知事の実績を高く評価。続投を切望する声が挙がっていた。
今回の意向表明に対し、業界からは「社会資本整備について深い理解と見識を持っていた方。政権交代により公共事業を取り巻く環境がより厳しさを増す中で、大きな痛手だ」「残念の一言に尽きる。 混迷の度を深めるのでは」と今後を危惧する声が聞かれた。
次期知事選ではこれまでに、元県信濃美術館長の松本猛氏が出馬を表明。また県民有志のグループが、田中前知事時代に副知事を務めた阿部守一氏に出馬を要請している。