建設経済研究所は25日、「投資大幅減の中で変革に直面する建設産業」と題した建設経済レポートを発表した。毎年2回まとめているもので、今回は「地域建設企業の位置づけと役割」などについて記述した。
国の公共事業関係費が史上最大の対前年度比18・3%減となり、建設投資が減少する中、レポートでは「建設企業は、従来のビジネスモデルでは減収のみならず、経営リスクが大きい危機感を自覚し、一刻も早く時代に即した新しいビジネスモデルへの転換を急ぐべき」と書き込んだ。
具体的には、収益が一過性である「建設」などの従来型フロービジネスに加え、「不動産賃貸」「不動産管理」や、メンテナンスなどの顧客を囲い込んだトータルサポートを打ち出し、顧客維持型ビジネススタイルに重きを置いた企業経営へシフトするよう説いている。
フロービジネスとストックビジネスの両輪体制で、安定した経営基盤を構築すべきと記述した。
建設業は成長期を過ぎて成熟期を迎え、仕事量の減少は構造的要因(産業構造の空洞化、人口・世帯数の減少など)を抱えている。
企業業績の回復基調には不透明感が残る中、本業であるこれまでの一般的な建設工事業務だけでは①売上・利益の見込みが立てにくく②大量生産は望めず③プロジェクトのキャッシュを生み出すまでの期間が長く④収益が一過性のものである―と整理した。
レポートではこのほか「建設市場の厳しさが増す中で、地域建設企業にとっても、耐震工事を含めた改修事業は今後の有望な市場」と示した。
当面の耐震工事需要の対象となる建物ストックを200万棟、5億㎡程度、耐震工事需要額で約5・0兆円と想定。加えて、耐震工事に消極的な層を取り込むことができれば、さらに約4・9兆円の建設需要額が期待できるという。
地域建設企業は、耐震工事に前向きな建物所有者や地方公共団体からの需要にこたえることが第一歩であるが、消極的・無関心な層からの需要の掘り起こしに努めることが重要とした。
その際は従来型の耐震工事の営業手法にとどまらず、地域の様々な主体と連携して、地域住民からの信頼を得ていく努力が必要になる。