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鹿島臨海公共下水道整備へ/鹿島臨海都市計画の区域マスタープラン案(2)

2004/02/20 日本工業経済新聞(茨城版)

 県は、鹿島臨海都市計画(鹿嶋市・波崎町・神栖町)の区域マスタープラン案(都市計画区域の整備、開発及び保全の方針の決定)を作成、縦覧を行っている。案は、都市計画の目標、区域区分の決定の有無、主要な都市計画の決定の方針-で構成。その中で、現在整備中またはおおむね10年以内に整備に着手することを予定する都市施設を提示している。それによると<1>交通施設では「主要幹線街路3・3・9須賀佐田線(県道茨城鹿島線)」<2>下水道では鹿島公共下水道、鹿島臨海公共下水道(神栖町、波崎町、鹿嶋第2、鹿島臨海特定)<3>区画整理事業では、鹿島神宮駅周辺北土地区画整理事業、平井東部土地区画整理事業、国末泉川土地区画整理事業、若松土地区画整理事業、平泉外十二入会土地区画整理事業、波崎町柳川土地区画整理事業-を挙げている。

 鹿島臨海都市計画区域マスタープラン案の概要は次のとおり。

【下水道及び河川】

◆下水道及び河川の整備の方針

 <1>下水道

 市街化の動向や道路などの都市施設整備と十分に整合を図りながら効率的な施設整備を行い、本区域における生活環境の向上と公共用水域の水質の保全を図る。

 汚水に係る下水道施設の整備は、人口や産業が集積している地区や計画的な開発による市街地整備が行われている地区から重点的に進める。さらに、市街地の雨水の排除については、放流河川の整備と十分に整合を図り排水施設の整備を進める。

 <2>河川

 洪水による浸水被害から地域の安全を確保するため、河川改修など適切な治水対策を進める。また、河川流域において、親水性などを生かした憩いや交流の場の整備を進めるとともに、水質の浄化や水辺環境の保全など、環境にも配慮した総合的な河川整備を進める。

◆下水道の整備水準の目標

 本県における下水道の整備水準は、農業集落排水施設や合併処理浄化槽の整備と連携を図りながら、平成32年の生活排水処理普及率100%を目指し、下水道処理人口普及率の目標を定める。

【主要な施設の配置の方針】

 <1>下水道

 本区域の汚水処理については、鹿島公共下水道と鹿島臨海工業地帯の特定公共下水道の整備を促進するとともに、処理区域の拡大を図る。さらに、市街地の雨水排除については、河川や農業関連の計画と調整を図りつつ、ポンプ場や雨水管渠等の整備を進める。

 <2>河川

 本区域の河川は、利根川水系に属しており、南端に利根川が流れている。その他の主要な河川として、常陸利根川や鰐川等があり、市街地の雨水はこれらの河川に排水されている。

 これらの河川については、洪水による浸水被害から地域の安全を確保するため、河川改修など適切な治水対策を進める。

◆主要な施設の整備目標

 現在、整備中又はおおむね10年以内に整備に着手することを予定する主要な施設(都市計画施設)は、次のとおりとする。

 ※鹿島公共下水道、鹿島臨海公共下水道(神栖町公共下水道、波崎町公共下水道、鹿嶋第2公共下水道、鹿島臨海特定公共下水道)

【その他の都市施設】

◆基本方針

 人々の健康で文化的な都市生活や機能的な都市活動を確保するため、火葬場やごみ処理場などの都市施設は、社会情勢の変化などを勘案し適切な配置と整備に努める。

◆主要な施設の配置の方針

 <1>火葬場…神栖町に1か所(かみす聖苑)を配置する。

 <2>ごみ処理場…鹿嶋市に1か所(鹿嶋市ごみ処理場)と波崎町に1か所(波崎町ごみ処理場)を配置し、廃棄物をリサイクルする施設を神栖町に1か所配置する。

 <3>汚物処理場…鹿嶋市に1か所(鹿嶋市汚物処理場)と波崎町に1か所(波崎町衛生プラント)を配置する。

【市街地開発事業に関する主要な都市計画の決定の方針】

◆主要な市街地開発事業の決定の方針

 本区域における市街地開発事業は、これまでに鹿島臨海工業地帯の整備における工業団地造成事業や、宮中第一地区などにおける土地区画整理事業などが積極的に行われてきた。今後は、現在整備中の事業を円滑に進めるとともに、既成市街地において都市機能の更新や居住環境の改善、防災性の向上を図るための事業を重点的に行う。

 特に道路等が狭いなど都市施設整備が遅れている中心市街地においては、市街地再開発事業等を行うことによって都市施設の整備を進めるとともに、土地の高度利用や商業・業務機能の更新などを図る。

 さらに、市街化区域内の農地や工場跡地などの低・未利用地については、土地区画整理事業等を行うことによって道路や公園などが整備された良好な市街地の形成を図る。

◆市街地整備の目標

 現在、整備中又はおおむね10年以内に整備に着手することを予定する主要な市街地開発事業は、次のとおりとする。

 ※鹿島神宮駅周辺北土地区画整理事業、平井東部土地区画整理事業、国末泉川土地区画整理事業、若松土地区画整理事業、平泉外十二入会土地区画整理事業、波崎町柳川土地区画整理事業

【自然的環境の整備又は保全に関する都市計画の決定の方針】

 本区域の都市づくりにおいては、自然公園法など他の法令との連携を図りながら、区域区分制度等による計画的な土地利用を進めることにより緑地を保全し、公園等を適正に配置し整備することによって、豊かな水と緑に包まれた潤いのある都市の形成を図る。

◆緑地の確保目標水準

 本県における都市公園の確保目標水準は、住民1人当たりについて望ましいとされる都市公園の敷地面積10㎡以上を目標とし、これの実現に向けて、都市公園の整備又は保全を図る。

◆主要な緑地の配置の方針

 <1>環境保全系統

 常陸利根川や外浪逆浦湖岸などの河川・湖沼の水辺の緑地、台地上にまとまった平地林、鹿島灘沿岸に連なる保安林等は、本区域における自然環境の骨格を形成しており、野生動植物の生息・生育地として、また、CO2の吸収や大気の浄化等の環境への荷の軽減などといった観点から重要なものであることから、積極的な保全を図る。

 また、鹿嶋市の宮中野遺跡など貴重な歴史的風土と一体となった緑地を積極的に保全する。

 <2>レクリエーション系統

 住民の日常のレクリエーション需要に対応するため、街区公園などの住区基幹公園や農村公園などの整備を促進するとともに、鹿島神宮など人々の生活に密着した社寺境内地の保全を図る。

 また、週末のレクリエーション需要に対応するため、スポーツ・レクリエーション機能を持った運動公園など都市基幹公園の整備を進めるとともに、神栖町海浜運動公園などの利用を促進する。

 さらに、鹿島灘の美しい海浜環境を生かし、海水浴場やマリンスポーツ施設等の整備を図る。

 <3>防災系統

 地震や火災などによる都市災害に対応するため、災害時に住民の避難地となり、また、延焼遅延効果がある緑地や農地の保全を図る。斜面崩壊などの自然災害に対応するため、台地と低地の間に連なる斜面林の保全を図る。

 <4>景観構成系統

 市街地の周辺に残された緑地など自然的な景観を維持するため、台地と低地の間に連なる斜面林や、北浦等の湖沼や利根川等の大きな河川、海洋と一体的な景観を構成する緑について保全を図る。また、潤いのある都市景観を創出するため、幹線街路等の緑化に努める。

 さらに、鹿島神宮の森等の社寺林や点在する集落地の屋敷林など、昔からの安らぎをもたらす景観の保全に努める。

【実現のための具体の都市計画制度の方針】

◆公園緑地等の整備目標及び配置方針

 <1>運動公園…神栖町海浜運動公園の整備を進めるとともに、波崎町に1か所を設置することを目標とする。

 <2>総合公園…神栖総合公園の整備を進めるとともに、鹿嶋市に1か所を設置することを目標とする。

 <3>その他の公園緑地等…街区公園などの住区基幹公園、風致公園や親水公園などの特殊公園、鹿島臨海工業地帯周辺にある都市緑地などを適切に配置し、その整備を図る。特に鹿嶋市の爪木ノ鼻は、北浦の優れた景観を生かした風致公園として整備を図る。

◆緑地保全地区等の指定目標及び指定方針

 <1>風致地区

 鹿嶋市の山之上地区などにおいて、良好な自然的景観を形成している地区については、都市の風致を維持するため、風致地区制度の活用を検討する。

 <2>緑地保全地区

 市街地やその周辺に残された身近な樹林のうち、市街地の無秩序な拡大を防ぐものや、社寺等と一体となって歴史的・文化的価値を有するものについては、緑地保全地区制度の活用を検討する。特に、鹿嶋市の木滝・佐田地区、神野向地区など保全を図る斜面地について指定を検討する。

◆主要な緑地の確保目標

 現在、整備中又はおおむね10年以内に整備に着手することを予定する主要な公園緑地等(都市計画施設)や、おおむね10年以内に指定することを予定する緑地保全地区等(地域地区)は、次のとおりとする。

 ※都市計画公園…神栖町海浜運動公園、(仮)自然ふれあい公園、(仮)鹿嶋総合公園、神栖総合公園、(仮)東部公園、(仮)南部公園、(仮)橋詰公園、(仮)駅北近隣公園、(仮)平井東部近隣公園、(仮)港ケ丘近隣公園、(仮)中原近隣公園、(仮)泉川近隣公園、(仮)神野向歴史公園、(仮)爪木風致公園、舎利浜特殊公園、須田浜特殊公園

 ※都市緑地…浄化センター緑地、粟生浜緑地、平井ハイアメニティビーチ、宝山緩衝緑地、

 ※墓地…鹿嶋市公園墓地、神栖町海浜墓地公園



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