県は19日、26日に召集の2月定例県議会に提案する新年度当初予算案を明らかにした。新年度の一般会計当初予算の総額は4、747億1、273万6、000円。前年度は知事選の影響で当初予算が骨格編成だったため、政策予算を加えた前年度6月の現計予算額(4、869億7、265万8、000円)と比べて2・5%マイナスの緊縮型予算となった。同予算のうち公共事業費等については、厳しい財政状況のなか段階的な縮減と事業の選別・重点化が図られ、公共事業費937億3、700万円(対前年度9月比5%マイナス)、準公共事業費314億7、700万円(対前年度6月比12・1%)で、あわせて前年度(9月)と比べ約92億円の減となっている。こうしたなか建設関連の主要事業には、あけぼの医療福祉センター整備事業(19億3、642万7、000円)、盲学校・甲府養護学校建設事業(6億4、503万3、000円)、吉田高校校舎改築事業(6億34万円)、山梨県立大学整備費(5億1、521万3、000円)、総合交通センター建設費(6億1、478万6、000円)などの営繕関係事業のほか、公共事業等重点化事業として、豊かな観光基盤づくり事業(20億500万円)、緊急防災対策事業(22億6、600万円)、人にやさしい生活空間事業(26億8、000万円)などを盛り込んでいる。
新年度の予算編成にあたっては、歳入面で国の三位一体の改革の影響により地方交付税、臨時財政対策債の274億円の大幅な減額となるなか、歳出面では厳しいシーリングによる経常経費の削減、公共事業等の段階的縮減や選別、重点化など全面的な見直しを行うとともに、新年度は新長期総合計画「創・甲斐プラン21」のスタートの年として、重点とする産業振興で地域観光資源の魅力を高めるための重点投資や、環境保全対策、少子・高齢化対策、市町村合併の推進などに積極的な予算計上。公共事業等においても、全体の規模の縮減を図るなかで、事業を選別し、重点的・効率的に予算を配分。重点化枠を設定し、地域経済の活性化、自然環境の保全・復元、生活安全性の向上、市町村合併の促進の4つの観点から93億円を重点化事業とした。
建設関連の主な事業を見ると、3か年の継続事業としてあけぼの医療福祉センター整備に着手。同施設は韮崎市旭町上条南割地内にある既存施設の老朽化や利用ニーズの変化などに伴い、機能の見直しなど再整備を図り、新たな施設を建設するもの。新たな施設はRC造1階(一部2階)建て、延べ床面積1万3、000㎡の規模を予定。3か年の総事業費は64億5、475万9、000円を見込む。
養護学校等施設整備事業では、盲学校・甲府養護学校建設工事に新年度から着手。甲府市下飯田2丁目に併設される両施設を一体的に改築するもので、改築規模は盲学校校舎がRC造3階建て、延べ床面積5、702㎡、甲府養護学校校舎がRC造2階建て延べ床面積3、222㎡。3か年で投入する総事業費は43億2、188万1、000円を見込む。また、甲府市富士見地内の富士見養護学校では、新県立中央病院の整備にあわせて校舎の改築工事に着手。改築規模はRC造3階建て、延べ床面積1、750㎡の規模。
高等学校施設整備事業では、富士北稜高校の校舎・体育館改築を継続で進めるほか、新たに吉田高校の校舎改築工事(6億円)に着手する。改築規模は、RC4階建て、延べ床面積4、922㎡となる。
県立女子短期大学と看護大学を統合に伴い17年4月の開学を目指す新県立大学の整備事業では、新校舎棟の建設等に着手する。新館は、女子短大の敷地にSRC造6階建て、延べ床面積4、881㎡の規模で建設。あわせて、同短大の本館(RC造3階建て、延べ床面積4、111㎡)について耐震改修等を実施する。
南アルプス市下高砂地内では運転免許センターと交通安全教育施設の機能を一体化した総合交通センターを建設する。計画する施設は、RC造3階建て延べ床面積5、300㎡の庁舎のほか、敷地内に運転免許センターの試験コースなども備える予定。新年度から2か年で整備を進める予定で、総事業費には25億9、665万7、000円が見込まれる。
委託関係の予算では新規で県民文化ホール改修工事委託費(6、930万円)を盛り、大ホールの改修工事に備えた実施設計を進めるほか、あけぼの医療福祉整備センターの再整備の関連で、あけぼの養護学校改築の基本・実施設計(3、452万7、000円)にも着手。県立図書館複合施設検討費(902万円)を新たに予算化し、新たな県立図書館の整備に向けPFI事業の導入可能性調査の実施や基本構想の策定など事業化に向けた準備もすすめる。
一方、公共事業等重点化事業では、豊かな観光基盤づくり事業(幹線道路、遊歩道等の整備)に20億500万円、情報ハイウェイ整備(道路、河川などの光ファイバー敷設)に6億2、000万円、南アルプス緊急整備事業・森林遊空間整備事業に2億3、400万円、みどりと水辺空間創出事業(身近に楽しめる河川公園等の整備)に4億8、500万円)、緊急防災対策事業(緊急輸送路、都市河川の整備)に22億6、600万円、人にやさしい生活空間整備事業(道路、公園のバリアフリー化)に26億8、000万円、市町村合併促進社会基盤整備事業(合併道路の整備)に6億円などの事業費を配分している。
このほか、補助金関連では新規となる畜産バイオマス利活用整備事業補助金として高根町が建設予定のバイオマスプラント、コンポストの建設等に7億6、877万3、000円を予算化したほか、富士山山小屋にトイレを整備するための補助金(国補・県単独)に1億2、240万円、障害者福祉施設整備費補助金に1億2、357万4、000円などを盛り込んだ。