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上越新幹線直行特急実現へ/全県的な推進活動を/期成同盟会が長岡で総会

2010/06/12 新潟建設新聞

 平成26年度金沢開業を目指す北陸新幹線や、高速化の検討が進む羽越本線と呼応して長岡・上越間の在来線で新幹線直行特急の導入を訴える「上越新幹線直行特急早期実現期成同盟会」(会長=泉田裕彦新潟県知事)の今年度総会が7日、長岡市内で開催された。今年度の事業計画等を承認したほか、「全県的な推進活動の展開」を平成22年度の強化事項として掲げ、沿線自治体にとどまらない広域下での連携体制構築にまい進する決意を明らかにした。

 総会の冒頭、泉田知事の代理で出席した大野裕夫副知事は「北陸新幹線の問題で、柏崎市を中心とした地域に穴があく恐れがある。この件を検討する委員会も立ち上がったが、まず短期的には既存の優等列車の維持、そして究極的には直行特急の運転実現化があり、地域の活性化と一体的な問題として取り組むことが必要だ。県としても新潟県全体の魅力の向上につなげる目的で一丸となって運動を進めたい」と決意を述べ、秋には宣伝活動を軸としたシンポジウムの開催や視察を積極的に実施する意向を示した。

 さらに、総会後には県交通政策局が「信越本線直行特急のあり方検討委員会」(21年7月発足)の協議内容を説明。平成21年度中に3回の話し合いを行い、3月26日に泉田知事に報告した検討結果を説明した。同委員会は『2014年問題』として上越・北陸両新幹線の峡間地域の利便性低下と県土分断の懸念を解決する基本的な手法や方向性を検討する目的で発足。中長期的には新幹線、在来線直通運転化の嘱望は不動としながらも、短期目標として既存の「特急北越」「快速くびき野」等の優等列車の維持を強く打ち出している。

 この点で難航する接続駅(仮称・上越駅あるいは糸魚川駅)や運営計画に関する第3セクター設立に関する問題で、県は6月定例会で資本金の出資負担を提案するとし、見通しを立てたい構えだ。また、委員会は在来線の金沢、新潟間の接続方法として3パターンを提示。富山、石川両県との協議も必要で、今後も検討すべき、とした。

 最終目標となる新幹線・在来線直通運転化の手法としてミニ新幹線とフリーゲージトレインの概算工事費、想定短縮時間、費用対効果を示した表では、相対的にフリーゲージトレインの優位性を挙げたが、技術開発途上であり、今後も考察を要するとしている。

 最後に今後の方向性を挙げ、①地域活性化・広域連携への取組み②優等列車等の維持に対する官民一体となった取組み③新幹線・在来線直通運転化に対する新潟県の取組み④国への要請⑤公的支援の財源確保⑥全県的な推進活動を展開する枠組みの構築―を柱に、同盟会や関係諸団体、関係自治体の連携強化を提案している。

 会の結びにあいさつした同盟会副会長の会田洋・柏崎市長は「両新幹線の活用や利便性を高めることが地域の活性化に貢献する。直行特急は当面の優先課題として全県的に取り組まなければならない。交通体系の確立は県土の分断回避につながり、日本海沿岸地域の県民生活に直結する課題だ。知事を先頭に連携を密にして、国やJRに強く働きかけていきたい」と抱負を述べた。

【写真=早期実現へ今年度の事業計画等を承認した】

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