環境省は、鹿島共同火力㈱(鹿嶋市新浜5、三木伸一代表取締役社長)が敷地内に設置を計画している「発電所5号機」について、環境影響評価準備書に関する環境大臣意見を今月16日付で経済産業大臣へ提出した。意見書では、発電所の二酸化炭素排出による影響を出来る限り軽減することなどを求めている。同社の計画では、老朽化している既存の1号機と2号機を廃止し、両機の南側に5号機(計画出力30万KW)を建設する。現在は環境影響評価の手続きを進めており、それらの完了後に着工となる。運転開始予定は平成25年11月ごろ。
東京電力㈱と住友金属工業㈱の共同出資で昭和44年に設立された鹿島共同火力㈱は、住友金属鹿島製鉄所の敷地内東側に4基の発電設備を設け、鹿島製鉄所で発生するガスと重油の混焼により発電し、出資者に供給している。認可出力は140万KW(35万KW×4基)。
しかし、昭和48年に営業運転を開始した1号機と2号機の老朽化が進んでおり、電力市場における価格競争の確保とさらなる環境負荷の低減を図るため、1号機・2号機を廃止するとともに、新たに5号機の建設を計画した。
計画では、5号機は既存設備の南側に建設を計画。出力は30万KW級で、発電方法は、ガスタービンおよび汽力を組み合わせる「コンバインサイクル発電方式」を採用し、住友金属鹿島製鉄所の生産工程で発生する副生ガスを燃料とする。
事業着手に向け同社では、環境影響評価の手続きを実施。平成19年に方法書の縦覧、21年に準備書縦覧を行った。その後、ことし3月に準備書について県知事が意見書を提出し、4月に環境大臣に意見照会が提出されたため、環境省では今月16日付で意見を経済産業大臣に提出した。
意見書では、最大限の二酸化炭素排出削減の運用を図ることなどを提示。また、施工者に対して、低燃費型建機などの省エネ対策を推進することも求めている。
さらに、取放水口の浚渫土砂を遠方の福岡県へ運搬し活用する計画となっていることについて、環境保全の観点から海岸保全対策への活用検討も含めた有効策に努めることも盛り込んでいる。
今後は、経済産業大臣の勧告、環境影響評価の確定、経済産業大臣の許可などを経て着工となる。運転開始は25年11月ごろの予定。