国土交通省は経営事項審査の改正内容をまとめた。26日に開かれた中央建設業審議会(会長=平井宜雄・専修大学法科大学院教授)で了承されたことから、秋口から省令、告示、通知などの見直しに着手する。都道府県や業界団体への周知も進め、平成23年4月1日からの適用を見込んでいる。
経審改正は、前原誠司大臣の指示を受けて行われたもの。大臣は昨年の就任直後から、ペーパーカンパニー対策の強化などが必要と主張していた。
今回の改正ではまず、「評価対象とする技術者に必要な雇用期間の明確化」を図る。現行では審査基準日に在籍していればカウントされるため、技術者の名義借りの不正が行われやすいという指摘があった。
是正するため「審査基準日前に6カ月以上の恒常的雇用関係がある者に限定する」ことにした。
6月に開かれた前回の中建審では3カ月以上と提示していたが、実効性を上げるために6カ月へと変更した。
一方、60歳の定年を終え1年ごとに契約更新しているといった、高年齢者雇用安定法に基づく継続雇用制度の対象者を、評価対象に含めることにした。
改正のもう一つの柱は、「W点(社会性など)での再生企業の評価の見直し」だ。近年、「法的整理により債権カットした企業が、身軽になって受注しまくっている」という批判が寄せられていた。
このため、法的整理を行った企業はW点の「営業年数」を減点することにした。「営業年数」は35年以上で満点の60点となっているが、再生期間中は、最大点の60点を一律に減じる。そして再生期間終了後は、営業年数を0年からカウントする。
このほかの改正点として「W点の評価項目の追加」がある。具体的には▽建設機械の保有状況▽ISOの取得状況―の二つを加点する。
ただ建設業課では「W点のP点(総合評定値)に対するウエートは変えない方向」で考えている。詳細はこれから固めるが、W点のほかの項目の配分を圧縮することになる。
建設機械は、保有台数(老朽化により使用困難となったものを除く)に応じで加点する。実質的に保有と同視できる一定期間以上のリースも加点する。
一方のISOは、9000シリーズ(品質管理)と14000シリーズ(環境管理)を取得している建設業者を加点する。
このほか建設投資の減少により完工高の平均点が減少していることを踏まえ、X1点(完成工事高)の平均点を制度設計値の700点に近似させるよう、評点テーブルを上方修正する。
【写真=26日に都内の法曹会館で開かれた中建審総会】