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茨城県道路維持課

今年度から5カ年で北浦大橋ほか193橋/橋梁長寿命化修繕計画を策定

2010/08/05 日本工業経済新聞(茨城版)

 県土木部道路維持課はこのほど、橋梁長寿命化修繕計画を策定した。50年以上経過した県管理の橋梁836橋(橋長15m以上)が、20年後には全体の約半分と急激に増えることから、手遅れになる前に計画的な予防保全型補修へ切り替えるもの。これにより今後50年間で2500億円のコスト縮減が図られる見通し。まず今年度から5カ年で北浦大橋ほか193橋を修繕し、6年目から10年目にかけて園部新大橋ほか288橋を修繕する計画だ。

 県管理の836橋は、1970年から2000年の間に多く建設。現在、架け替えなど対策の目安とされている50年以上経過の橋梁は、現時点で6%と少数。だが、20年後にはその割合が約50%と跳ね上がり、大更新時代を迎える。このことから橋梁の長寿命化修繕計画を策定した。

 また、従来の維持管理は、ある程度損傷が進んでから直す「対症療法型」で実施してきたが、このままではピーク時に約20倍の予算を必要とすることから、初期段階で直してできる限り長く使い続けるといった「予防保全型」の維持管理へ転換し、補修、架替費用の縮減と予算の平準化を図る考え。

 県では、橋長15m以上の橋梁の点検を平成19年度、20年度に実施して橋梁ごとの健全度を評価したほか、21年度にはシュミレーションを実施。

 そして21年度には専門家を含む茨城県橋梁長寿命化修繕計画策定委員会(委員長・横山功一茨城大学工学部都市システム工学科教授)で意見を交わし、計画を策定した。

 それによれば、対策が必要な橋梁数は1~5年目が北浦大橋ほか193橋、6~10年目が園部新大橋ほか288橋となり、10年間で延べ447橋となった。

 これからの予防保全型の維持管理では、鋼部材の錆やコンクリート部材の剥離などの損傷が現れる前、または軽微な段階で修繕。

 計画された対策は、中性化補修、上部工の塗装がそれぞれ約3割を占めており、そのほか床版の補強や地覆の打ち替え、防護柵の復旧などとなっている。

 ただし、「設計基準が古い」「交通量が多く幅員が狭い」「荷重・高さ制限が実施されている」といった橋梁については架け替えていく考えだ。

 また計画に記された橋梁は、点検があくまで目視であることから、これを詳細に調査していくことで実施年度を見直す考え。また、この見直しはローリング方式で毎年度行う。全体的な見直しは5年ごとに行いたい考えだ。



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