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都市軸道路の促進へ/都市計画区域マスタープラン案/伊奈町の開発・保全方針

2004/03/05 日本工業経済新聞(茨城版)

 県は、伊奈都市計画(伊奈町)の都市計画マスタープラン案(都市計画区域の整備、開発及び保全の方針の決定)をまとめた。プラン案は、都市計画の目標、区域区分の決定の有無及び区域区分を定める際の方針、主要な都市計画の決定の方針で構成。そのなかで、現在整備中又はおおむね10年以内に整備に着手することを予定する主要な都市計画施設を列挙している。主なものでは<1>主要幹線街路として小張・南太田線、守谷・伊奈・谷和原線(都市軸道路)<2>都市幹線街路として高岡・谷井田線(県道取手つくば線バイパス)、新田浦・出山線(県道つくば野田線)-など。

 伊奈都市計画区域マスタープラン案の概要は次のとおり。

●都市計画の目標

【都市計画区域の名称及び範囲】

◆名称…伊奈都市計画区域

◆範囲…伊奈町の全域

【都市づくりの基本理念】

 本区域は、本県の南部に位置し、東京都心から40km圏内にあって、首都圏において計画的な市街地の整備を図ることを目的として首都圏整備法に基づく近郊整備地帯に指定されている。

 本区域は、小貝川や西谷田川などの流域にあり、旧来より近代農業の確立を目指し、主に圃場整備事業を積極的に行うなど農業基盤の整備が進められてきたが、昭和40年代後半から、首都圏の強い開発圧力を受けて急激に市街化が進行してきた。

 一方、本区域には、板橋不動として、古くから地域の信仰を集めてきた清安山願成寺不動院や、探検家であり測量家の間宮林蔵の生家など貴重な歴史的資源が残されている。また、北東部の台地上にまとまった平地林や斜面林、南西部の低地に広がる農地など、豊かな自然環境や田園環境が残されているが、近年における都市化の進展に伴い、これらの貴重な自然環境等が失われつつある。

 今後、本区域を含む県南地域では、科学技術・研究開発機能の集積やつくばエクスプレスや首都圏中央連絡自動車道などの広域交通体系の整備効果を生かし、筑波研究学園都市において都市機能の一層の向上を図るとともに、広域的な地域の発展を先導する土浦・つくば・牛久業務核都市において業務、商業、研究開発、国際交流などの導入を進めて、地域の均衡ある発展を図ることが求められている。

 このような状況を踏まえて、本区域は、引き続き首都圏発展の一翼を担いながら、次のとおり都市づくりを進める。

◆つくばエクスプレスの整備と一体的に沿線開発を行い、職・住・遊・学などの複合機能を有するとともに、自然環境と調和した新たな都市を目指す。

◆メディアパークシティ構想のもと、マルチメディアなど情報関連産業を活用し、情報関連産業の集積を図り、高度情報都市を目指す。

【地域ごとの市街地像】

◆谷井田市街地地域

 情報関連産業が集積するメディアパークシティに近接した地理的優位性を生かし、地域を対象とした商業・業務機能の集積や、周辺の自然環境と調和した居住機能の整備を図る。

 また、本地域を縦貫する幹線道路の整備・充実を図り、町役場や中央公民館など公共公益施設が集積した福田地区との連携の強化を図る。

 幹線道路沿道の周辺は、道路や公園など都市施設の整備を進め、周辺の自然環境と調和した良好な居住環境の形成を図る。

◆勘兵衛新田市街地地域

 つくばエクスプレスの新駅に近接する地理的優位性を生かし、道路や公園など都市施設の整備を進めるとともに適正な宅地化を図り、周辺の自然環境と調和した良好な居住環境の形成を図る。

◆伊奈・谷和原丘陵部市街地地域(伊奈地区)

 つくばエクスプレスの新駅を中心として、隣接する谷和原村との接点部に開発が進む本地域は、「住む・働く・学ぶ・憩う」といった様々な需要に応えることを目指し、住宅と商業・業務施設等が複合した新市街地の形成を図る。

 新駅の周辺は、商業・業務機能の集積を図り、本区域の新たな玄関口にふさわしいにぎわいと魅力のある都市拠点の形成を図る。

 商業・業務地の周辺は、駅に近接する利便性を生かし、周辺の自然環境や田園環境と調和した良好な住宅地の形成を図る。

●区域区分の決定の有無及び区域区分を定める際の方針

【区域区分の決定の有無】

 本都市計画に区域区分を定める。

 本区域は、首都圏整備法に基づく近郊整備地帯にあって、昭和54年に区域区分を定め、首都圏などから受ける強い市街化圧力等を適切に制御し、計画的な土地利用を進めてきたところである。

 本区域は、今後とも人口及び産業は拡大する見通しであり、また、つくばエクスプレスの開通に伴う市街地の拡大の可能性があることなどから、本区域における都市計画の目標を実現するためには、引き続き区域区分を定めることにより市街化圧力を適切に制御し、計画的な市街地整備を図りながら市街地の集積を高めることが必要である。

 また、区域区分を定めることによって、本区域の市街地外における農地や緑地などを積極的に保全し、自然的環境と調和した潤いのある都市づくりを進めることが必要である。

【区域区分の方針】

◆市街化区域のおおむねの規模及び現在市街化している区域との関係

 本区域における人口、産業の見通しに基づき、かつ市街化の現況及び動向を勘案し、平成12年時点で市街化している区域及び当該区域に隣接しおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域を市街化区域とすることとし、市街化区域のおおむねの規模を次のとおり想定する。

 平成22年の市街化区域面積254ha

●主要な都市計画の決定の方針

【土地利用に関する主要な都市計画の決定の方針】

◆主要用途の配置の方針

 <1>商業・業務地…つくばエクスプレスの新駅周辺や谷井田市街地地域の県道取手つくば線沿道等に商業・業務地を配置する。

 つくばエクスプレスの新駅周辺は、商業・業務機能の他、各種の公益施設等の集積を進め、本区域の新たな玄関口にふさわしいにぎわいと魅力のある都市拠点の形成を図る。

 谷井田市街地地域の県道取手つくば線沿道は、地域を対象とした商業・業務機能の整備・充実を図る。

 <2>住宅地…現在整備中の伊奈・谷和原丘陵部市街地地域は、つくばエクスプレスの新駅に近接するなどの利便性を生かし、多様な住宅需要に対応した良好な居住環境の形成を図る。

 谷井田市街地地域や勘兵衛新田市街地地域は、住宅と工場など用途の混在の解消を図り、周辺の自然環境と調和した良好な居住環境の維持・向上を図る。

【都市施設の整備に関する主要な都市計画の決定の方針】

◆交通施設

 <1>交通体系の整備の方針…本区域の北西部には、現在、つくばエクスプレスや都市計画道路守谷・伊奈・谷和原線(都市軸道路)の整備が進められており、これらを中心とした伊奈・谷和原丘陵部市街地地域の新たなまちづくりが行われているところである。

 中央部には、情報関連産業の集積を目指したメディアパークシティの整備が進められており、これらの整備効果を生かすことによって、本区域の拠点性は、今後、更に高まることが期待されている。

 こうした中、本区域は、つくばエクスプレスの整備など都市構造の転換に適切に対応するとともに、メディアパークシティなどの整備効果によって増加する交通量を円滑に処理し、日常生活や産業活動の利便性、安全性を高めることが必要である。

 そのため、本区域は、常磐自動車道やつくばエクスプレス等を中心とした格子状の広域交通網の構築を図る。

 また、道路交通の混雑を緩和し都市環境の改善を図るため、つくばエクスプレスの積極的な利用を促すことによって自動車と公共交通機関との効率的な機能分担を進めるなど、交通需要マネジメント(TDM●●)を促進する。

 <2>主要な施設の配置の方針

 ・自動車専用道路…東京から東北地方へ伸びる常磐自動車道を配置する。

 ・主要幹線街路…自動車専用道路と連携し、本区域内外の都市拠点間を連絡する主要幹線街路として、都市計画道路小張・南太田線、守谷・伊奈・谷和原線(都市軸道路)等を配置する。また、本県の県南地域を連絡する広域幹線道路の配置を検討する。

 ・都市幹線街路…主要幹線街路を補完し、本区域内の市街地間を結ぶ都市幹線街路として、県道つくば野田線、野田牛久線、取手つくば線、谷井田稲戸井停車場線、水海道取手線、都市計画道路小島新田・小張線、高岡・谷井田線等を配置する。

 ・都市高速鉄道…東京都心とつくば市を連携し、沿線の諸都市との連絡を強化するつくばエクスプレスを配置する。

 ・その他…交通の結節点となる鉄道駅において、交通処理の円滑化を図るため、駅前広場の整備を図る。

 また、駅周辺や中心市街地において、自動車交通の増加に伴う駐車場需要に対応するため、立体駐車場の整備を図る。



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