神奈川県住宅供給公社は、平成二七年四月一日を目途に、新たな企業体(株式会社)に移行する方向性を明らかにした。創立六〇周年を迎えた九月三日、山本博志理事長が表明した。
新たな企業体として、同公社が担ってきた高齢者や住宅困窮層の居住の安定を守るための公共的役割は可能な限り維持する。現居住者の居住の安定には最大限配慮して取り組む。
地方住宅供給公社法(公社法)の枠組みを超えた新たな事業を展開し、新たなビジネスモデルへ挑戦する。
具体的なイメージとして、若葉台団地をモデルに複合施設を整備するなど、既存の団地に介護、福祉的な要素を取り入れた新たな高齢者事業を展開し、コミュニティの再生に向けた取り組みを進める。
また、既存事業(賃貸住宅管理事業等)の枠に限らず、地域・時代のニーズに即した事業展開を図り、地域社会・経済の担い手としての方向性も示している。
新たな企業体の資金調達手法については、これまでの県の信用に依存した資金調達から、プロジェクトファイナンス等を活用した新たなスキームへ移行する。
「心の民営化」を提唱し職員の行動原理を改革し、予算主義から決算・成果主義への移行を図るなど、「ガバナンス革命」にも取り組む。
一方では、公社法には、株式会社へ転換するための手続きの定めがないことから、株式会社へ移行するに際しての税制面や手続き面での課題が多い。こうした課題を解決していく上では、県と連携して国や関係機関と調整し、民営化に向けた法整備を行う必要性があるとしている。
今回、同公社が民営化の方向性を明らかにしたのは、一八年一月に県から示された「住宅供給公社の民営化基本方針」に対応したもの。
県からは、「住宅の供給主体としての公社の役割は終了した」、「公社という組織形態で住宅管理事業を継続する必要性も乏しい」との状況認識が示され、遅くとも平成二九年度まで民営化を目指すという方向性も明らかにされていた。
同公社の二二年四月一日現在の賃貸住宅管理規模は、一般賃貸住宅一二六団地一万三、七九四戸など合計二四四団地一万七、八一一戸のほか、店舗・集会所等、駐車場などの利便施設等経営管理事業が六五箇所、一万三、九五七台、職員等は、役員を除き七五人。