横浜市は、市内にある米軍施設の返還に向けた働きかけや、その跡地利用計画を盛り込んだ「横浜市米軍施設返還跡地利用行動計画」の改定を決めた。二十二日の市会基地対策特別委員会で示されたもので、平成十九年の策定後四年が経過したことから、計画の達成状況や社会情勢の変動等を踏まえ改定する。これまでの取り組みの評価をしたうえ、現在、策定作業が行われている市の中期四か年計画とも整合を図りながら改定作業を進める考えだ。
改定する返還跡地利用行動計画は、返還された旧小柴貯油施設と旧富岡倉庫地区。それに平成十六年に返還方針が合意された根岸住宅地区、池子住宅地区及び海軍補助施設、深谷通信所、上瀬谷通信施設を対象にしたもので、中期計画との関連性を踏まえ、概ね四~五年後を当面の目標期間とした。返還された旧小柴貯油施設と旧富岡倉庫地区では、事業化に至る取り組みを重点化させる一方、上瀬谷、深谷等の返還が実現していない施設は、計画策定の取り組みに重点を置く。今後は十一月頃にも改定素案を市民に示し、意見を募り、二十三年三月までに改定計画をとりまとめる。以下、六施設の当面目標と、今後の取り組みは次のとおり。
◎旧小柴貯油施設(金沢区柴町ほかの五二六、〇〇〇平方㍍)
○当面の目標=都市公園(開港一五〇周年の森)整備を目指す
○今後の取り組み土壌汚染等対策など国有地処分に係る条件を引き続き国と調整を進める。土壌汚染等対策の実施及びその経過を踏まえ公園整備計画を進める。民間土地所有者の移行、地元の意見・要望等を計画に反映する。小柴水域の早期返還を要請する
◎旧富岡倉庫地区(金沢区富岡東二丁目ほかの二八、九八八平方㍍)
○当面の目標=市有地と一体的に衛生研究所など跡地利用を進める
○今後の取り組み=国有地活用方法など跡地利用基本計画を策定し、国との調整を進める。物揚場での港湾利用を推進する。なお、横浜市中央卸売市場再編・機能強化の動向を踏まえつつ、南部市場閉鎖後の土地利用を見据えながら検討を進める。野積場での導入機能やプロムナード整備等の土地処分条件を国と調整する。地元の意見要望等を踏まえながら、具体化検討を進める
◎深谷通信所(泉区和泉町ほかの七七三、〇〇〇平方㍍)
○当面の目標=跡地利用基本計画を地域の意見・要望等を踏まえながら策定
○今後の取り組み=米軍が常駐していないため早急な返還を引き続き要請。応募された提案を参考に、地元の意見・要望等を踏まえ具体化検討を進める。国有地の活用等の跡地利用への協力を国に要請
◎上瀬谷通信施設(瀬谷区北町、旭区上川井町の二、四二二、〇〇〇平方㍍)
○当面の目標=環状4号線の八王子街道交差箇所の早期開通を目指すとともに、民間土地所有者等を跡地利用の検討を進める
○今後の取り組み=米軍住宅及び関連施設が閉鎖されており、早期一括返還を引き続き要請。環状4号線の共同使用承認後、早期開通に向け、速やかに事業着手する。国に国家的プロジェクト導入検討や国有地の有効活用等を要請する
◎根岸住宅地区(中区簑沢、南区山谷、磯子区上町ほかの四二九、〇〇〇平方㍍)
○当面の目標=民間土地所有者等によるまちづくり協議会設立を支援
○今後の取り組み=民間土地所有者等と返還・跡地利用の課題を共有し、まちづくり検討を進める。まちづくり会(勉強会)から協議会(合意形成機関)への移行を支援する。根岸森林公園に隣接する区域は、一体的に都市公園等として整備を目指す
◎池子住宅地区及び海軍補助施設の横浜市域の飛び地(金沢区六浦町の三六七、〇〇〇平方㍍)
○当面の目標=住宅建設対策と併せて、周辺住民の福祉増進に資する利用を検討する
○今後の取り組み=横浜逗子線の整備と米軍施設への進入路との関係などについて国と協議を進める。現地に米軍が常駐していないことから、早急な返還を要請する