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国土交通省

総合評価時代での考え方は/発注標準 骨太議論スタート

2010/10/04 本社配信

 国土交通省は発注標準のあり方についての検討を本格化させる。公共工事品確法の施行により、価格競争から総合評価へとシフトしたことを踏まえ、産業政策もにらんだ骨太の議論をスタートする。受注者側からすると“競争相手を決める”という根本的な制度。このため同省でも、腰を据えて検討する考えだ。








 国交省では発注標準について議論する前提として、入札方式が価格競争から総合評価へとシフトしたことを踏まえた上での考え方を整理した。

 それによると価格競争時代における発注標準の考え方は①契約を履行する能力は、契約の規模とその者の有する資本力などの相対的関係において判断されるものであることから、等級を分けて登録②同等の同能力を持つ者同士が過度な競争を避け、十分な競争環境を確保―だった。

 これに対し現在は、総合評価や入札ボンドなどでも契約履行能力を評価しているため、相対的に発注標準の役割が減少しているのが実態だ。

 ただ一方で、十分な競争環境を確保するためには、企業の規模ごとに発注量に合ったバランスの良い参加機会を提供する必要があり、依然として発注標準の存在意義はあるとみている。とりわけ、地域企業の受注機会確保を図るためには必須のシステムといえる。

 同省では今後、内部で検討するほかに公共事業品質確保懇談会企業評価部会でも議論する予定としている。

 論点としては▽新たな工種の新設、ほかの工種との統廃合▽ランクの新設・統合、工事の難易度を活用した区分の設定・見直し▽ランクごとの総合点数の範囲が地方整備局ごとに異なっている現状の整理▽上位ランクへの参入の制度設計▽地域企業の受注機会に対する配慮事項―などを考えている。

 9月30日の企業評価部会で委員からは「現在の発注標準はマーケットが拡大する時につくってきた制度。(公共事業減により)今までと違う方向にあるわけだから、見直さなければならない時期にある」「諸外国に比べると、工種もランクも細かいのではないか。海外の運用も調べるべき」「建設産業政策とも関連する大きなテーマ。長期のスパンでしっかり考えるべき」といった意見があった。

 また発注標準に関連して、前回(21・22年度)の競争参加登録では、技術評価点の算定方法を大幅に変えたことを考慮し、ランクが変わった場合でも、希望すれば従来等級にとどまれる経過措置を講じたが、次回(23・24年度)も経過措置を継続するかどうかも検討する。10・11月に経過措置適用企業(一般土木)へのアンケートを実施することも決めた。

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