鴨川市は、19日に開いた水道事業運営委員会で、石綿セメント管更新事業の再評価について審議した。その結果、総便益が総費用を上回り、事業の投資効率性が認められることから「事業の継続が妥当である」と判断し、事業の継続を決めた。同市の石綿セメント管更新事業は02年度に国庫補助採択を受けて事業に着手し、09年度までに4万7822mのうち1万3025mの更新を完了している。
同事業は、老朽化した石綿セメント管を耐震性の高いダクタイル鋳鉄管及び高密度ポリエチレン管等に更新し、配水管路の耐震性の向上及び有収率の向上、ライフラインの機能強化を図ることを目的に実施。事業の評価基準年度は10年度とし、05年度に00年度から04年度までの再評価を実施しており、今回、09年度で5年を経過したことから再評価を行った。
事業は02年度に国庫補助採択を受けて、36年度を目標に47.8㎞の残存する石綿セメント管を漏水の多い管路から順次更新を実施。今回の再評価では水道施設の被災は、社会生活に及ぼす影響が非常に大きいことから、主要管路の敷設替えを前倒しして事業を推進する。施設規模は、給水人口3万5124人、1日平均配水量1万5426立方メートル(09年度末)。
同事業の全体事業費は28億9778万8000円で、09年度までに9億1478万8000円を投資し、事業費ベースの進ちょく率は31.6%となった。また、更新距離ベースの進ちょく率は27.2%。
再評価によると、同事業の09年度末の有収率は81.8%で、同市の中期経営計画の目標値81.1%(11年度)を上回っている。今後、順調に事業が推移した場合には27年間で34.9kmの石綿管の更新が可能で、36年度末の有収率は90.8%が見込まれる。これは01年度末の事業開始前の有収率75.0%に対し15.8%向上することになる。
一方、事業の投資効果では、厚生労働省健康局水道課の「水道事業の費用対効果分析マニュアル」に基づき、換算係数法により「総費用」と「総便益」を算出。費用については、これまでの支出の実績等をもとに見直しを行い、その結果を09年度価格で整理した。
便益は石綿セメント管を更新しない場合の「漏水損失額」「漏水補修費等維持管理費」の低減額を計上。その結果、総費用は32億3236万円、総便益は61億689万3000円となり、総便益比1.89で、総便益が総費用を上回り、事業全体の投資効率性が妥当と判断された。
以下、再評価に基づく同事業の総合評価(対応方針)は次の通り。
【総合評価(対応方針)】
事業全体及び残事業の投資効率性は、基準値以上であることから事業の継続が妥当であると判断できる。また、管路の破損による漏水事故を未然に防ぎ、かつ有収率を高めるなど、安定給水の確保と健全経営の促進に寄与するものであり、さらに耐震性の高い管に更新することにより、地震災害に強い水道の構築が可能となることから、その必要性を認め、引き続き事業の推進を図るものとする。