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千葉県県土整備部

勝浦警察署、富浦学園など実施設計/県営繕設計委託 県立学校大改造は耐震補強など70校を

2011/01/25 日刊建設タイムズ

 県県土整備部営繕課と施設改修課、県教育庁などは、今年度で主要な営繕工事の実施設計を委託した。県立学校の大規模改造に伴う実施設計は、耐震補強、大規模改修などを合わせて70校に及び、近年では最も件数が多くなった。県教育庁の案件ではこのほか、県立美術館の耐震補強の実施設計も委託しており、2012年度の着工を目指して準備を進める。また、新年度で着工が見込まれる施設には、勝浦警察署や富浦学園改築などがある。

 学校の大規模改造の設計の内訳は、耐震補強30校、意匠設計35校、その他5校。耐震補強は校舎20校、屋内運動場10校で、意匠設計は校舎16校、屋内運動場19校。その他の4校には旧県立印旛高校の解体実施設計がある。解体施設は校舎、屋内運動場など全20棟で、新年度で工事に着工する。解体後は印西市に用地を売却する予定で、印西市が跡地を活用する。

 耐震補強のうち、県立特別支援学校流山高等学園の屋内運動場と、市川特別支援学校分校に伴う市川北高校の改修は、県の12月補正予算で事業費が付き、前倒しで実施する。ただ、工期がないため、着工は新年度に入ってからとなる見通し。このほか分校では、印旛特別支援学校分校として県立佐倉南高校を改修して整備する計画。設計は、市川特別支援学校の分校を千都建築設計事務所(千葉市美浜区真砂3-1-2)、印旛特別支援学校の分校を玉川設計(千葉市緑区あすみが丘2-3-12)が担当。


 ■県立美術館は老朽化対策で耐震補強


 県立美術館(千葉市中央区中央港1-10-1)は、老朽化に伴い耐震補強を実施し、あわせて老朽化対策工事を実施する。今年度と新年度の2か年で耐震補強の実施設計を行い、新年度で老朽化対策工事の意匠設計を委託する。工事は12年度に耐震補強工事に着工し、その後、老朽化対策工事を実施する予定。耐震補強の実施設計は梓設計(東京都品川区東品川2-1-11)が担当。

 同美術館は敷地面積約3万3000㎡で、建物は展示棟、アトリエ棟、管理棟の3棟で構成する。このうち耐震補強工事は、07年度の耐震診断で耐震補強の必要が認められた展示棟とアトリエ棟の2棟、老朽化対策工事は管理棟を含めた3棟すべてを対象に実施する計画。

 建物各棟の規模は、展示棟がRC造(屋根S造)2階(一部1階1階)建て延べ約5739㎡、アトリエ棟がRC造(屋根S造)2階建て延べ約1502㎡、管理棟がRC造2階(屋根S造)2階建て延べ2247.60㎡。

 老朽化対策工事は、空調設備、電気設備など設備の入れ替えや屋上防水などを予定。空調設備は、システムを含めた全面改修となる見通し。

 同美術館は1期~4期に分けて整備された。1期は1974年度の竣工で、展示棟の第1~第7展示室を整備。2期は管理棟を整備し、76年度に竣工した。3期は80年度の竣工で、アトリエ棟を整備。最終の4期は展示棟の第8展示室と管理棟の収蔵庫を増築した。

 同美術館の展示室は全8室で、館庭には野外彫刻を展示し、自然との融合を図り、県民アトリエ棟は講演会やコンサート等の場として200人収容できる講堂、美術に関する図書や情報を提供する情報資料室、研修室などが配置されている。

 一方、新年度の着工が見込まれる勝浦警察署は、既存施設が1970年6月の竣工で施設が老朽化しているうえ、狭あい化していることから移転を計画。移転場所は勝浦市営第二庭球場の用地内で、勝浦市沢倉字永谷515番地6ほか地先。敷地面積は約4200㎡を見込む。建物規模はRC造3階建て延べ約2600㎡。ほかにRC造2階建て延べ約500㎡の車庫棟を整備し、周辺には駐車場を整備する。

 事業スケジュールは、順調なら新年度で着工し、11~12年度の2か年で建設し、13年3月末の開署を目指す。総事業費は用地費を含め約15億円を見込む。実施設計は榎本建築設計事務所(千葉市中央区長洲2-8-5)が担当。

 既存庁舎の規模はRC造2階建て延べ約739㎡で、ほかにS造2階建て延べ約150㎡(1985年建設)の駐車場棟を併設する。敷地面積は約2297㎡。当時の施工は、本体工事を屋代工務店、機械設備工事を中島電気、給排水衛生設備工事を庄司工業がそれぞれ担当した。

 また富浦学園は、既存施設が8-9人の大舎制を取っているが、改築に伴い個人のプライバシーを確保するため、個室を中心にした少人数の小舎制にする。定員は40人で、現在の約100人から減少する。居住棟は1人または2人の個室とし、8人を1ユニットとして5ユニットを配置する計画。

 建物は管理棟、居住棟3棟の4棟。建物規模は管理棟がRC造2階建て延べ約817㎡、居住棟が木造2階建て約471㎡2棟と木造2階建て延べ約234㎡1棟で、総延べ面積は延べ約1993㎡。総事業費は約8億円(うち工事費7億4400万円)を見込む。建て替えは現在地(南房総市富浦町多々良1185-1)での改築で、既存棟を解体しながら新施設を整備していく。実施設計は千都建築設計事務所が担当。

 事業のスケジュールは、今年1月から3月にかけて既存の職員寮と車庫を解体する。解体後、7月に管理棟に着工する。管理棟は2012年3月までに完成させ、管理棟完成後、12年6月から7月にかけて既存の管理棟を解体する。既存の管理棟を解体し、その跡地に居住棟を整備する。居住棟は12年7月に着工し、13年2月ごろの完成を目指す。居住棟の完成を待って、既存の児童棟と幼児棟を解体する計画。

 既存施設は、管理棟、児童棟、幼児棟、食堂棟などで構成。規模は管理棟がRC造平屋一部2階建て延べ696.37㎡、児童棟がRC造2階建て延べ858㎡、幼児棟がRC造平屋建て延べ415.92㎡、食堂棟がRC造平屋建て延べ472.78㎡。管理棟は1967年の竣工で、ほかはすべて73年の竣工。ほかに木造平屋建て56.8㎡(69年竣工)の職員住宅、RC造2階建て208.6㎡(71年竣工)の職員公舎などがある。敷地面積は1万828.31㎡。

 このほかでは、東上総児童相談所一時保育所建設、農業大学校学生会館、香取健康福祉センターの各耐震補強工事などが予定されている。

 東上総児童相談所(茂原市高師3009-6)の一時保護所は、同相談所の敷地内に別棟で整備する。規模はRC造2階建て延べ約715㎡(別に付属電気室RC造平屋建て延べ約25㎡)の計画。

 一時保護所は、虐待を受けた児童などが一時非難的に利用する施設で、県内にある6か所の児童相談所のうちは東上総児童相談所だけが未整備となっていた。なお、東上総のほか県内にある児童相談所は、東上総のほか、中央児童相談所(千葉市稲毛区天台1-10-3)、市川児童相談所(市川市東大和田2-8-6)、柏児童相談所(柏市根戸445-12)、銚子児童相談所(銚子市台町2183)、君津児童相談所(君津市中野4-18-9)の5か所。

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